デジタル・トランスフォーメーション(DT)は、ITを駆使してビジネスプロセスを再構築し、企業全体を効率化・生産性向上させることを目指す動きです。

もっと簡単に言えば、「会社をもっと儲かる体質に変化させる」ということです。

しかし、それが大企業のように巨額の投資が可能な状況ではなく、年商10億円未満の中小企業における場合、より戦略的かつ効率的なアプローチが必要になります。

以下にその進め方についていくつかのステップを提案します。

 

1. ビジョンの設定と目標の明確化:

まずは、デジタル・トランスフォーメーションを通じて何を達成したいのか、そのビジョンを明確にします。

何のITツールを導入したら、DXは成功!という訳ではありません。

その会社において、それぞれ重点項目や喫緊な課題があるでしょう。

それはコスト削減、生産性向上、新たな顧客獲得、顧客体験の改善など様々な形があると思います。

その達成度を数字化し、明確な目標とすべきです。

 

2. 現状の評価:

デジタル化を進める前に、現状のビジネスプロセス、ITインフラ、人材のデジタルスキルを把握することが重要です。

これにより、必要な改善点やデジタル化のための投資項目を明らかにすることができます。

 

3. 優先順位の設定:

すべてを一度にデジタル化するのは難しいでしょう。

そのため、最も効果が期待できる、または最も必要性が高い項目から順にデジタル化を進めることが効果的です。

 

4. 実施計画の作成と実行:

具体的な実施計画を作成し、それを実行します。

計画には具体的な行動、予算、期間、担当者を明記します。

また、変革は一度にすべてを達成するものではなく、段階的に進めていくものであると理解することが重要です。

そして、担当者には、それに見合った環境と権限を与えることも大事です。

 

5. パートナーシップの活用:

外部のITベンダーやコンサルタントを活用することで、技術的な問題やスキル不足を補うことが可能です。

特に将来的に「内製化」を考えている場合、その道のプロから教えを乞うのは、時間を買うことに繋がります。

また、パートナー企業との協力により、新たなビジネスチャンスを生み出すこともあります。

 

6. 教育とトレーニング:

デジタルスキルのない従業員を持つ企業では、デジタル・トランスフォーメーションを成功させるためには教育とトレーニングが必須です。

私が今まで見聞きしてきたものや経験から申し上げると、いくつか失敗しやすいケースがあります。

それは、現状の任せる仕事量を減らさずに、教育しようとすることです。

会社側としては、「教育にかかるお金は出しているんだから、あとは自分たちで頑張って勉強しろ!」と思っているかもしれませんが、通常の会社において、そんなに暇している人はいません。

通常業務をしながら勉強時間を捻出できても、せいぜい一日1時間とか、そんなものだと思います。

残念ながら、そのペースでは実務に使えるレベルまでもっていくのに、年単位かかるでしょう。

かといって、就業時間外のプライベートな時間を使ってまで勉強しようとする人も、稀でしょう。

逆にそこまで意識が高い人は、「スキルをマスターして、少し実務経験を積んだら『転職』を・・・」と考えていても不思議ではありません。

ですので、全員をそうする訳にはいかないと思いますが、プロジェクトリーダー的な人を立てて、その方にはある程度の期間、それに専念して貰う程度の環境を提供しないと社内におけるスキルの定着は望めないでしょう。

 

7. 組織文化の改革:

デジタル・トランスフォーメーションは技術だけでなく、企業文化にも影響を与えます。

新しいテクノロジーを受け入れ、変革を進めるための組織文化を形成することが重要です。

ITツール全般の話として、厄介なところは導入したその日からバリバリ使えるものではないということです。

ある程度の学習期間も必要ですし、社員の多数が使えるようになって初めてその効果を発揮するというものも少なくありません。

 

8. 結果の評価と反復:

デジタル・トランスフォーメーションは一度きりのプロジェクトではありません。

実施結果を定期的に評価し、改善点を見つけて反復的に改善を行っていくことが必要です。

このようなプロセスを通じて、中小企業でも効果的にデジタル・トランスフォーメーションを進めることが可能です。

ただし、一歩一歩進め、失敗を恐れずに新たな取り組みを行うことが重要です。

また、全員が一丸となってデジタル化を進める意識を持つことも大切です。

 

(まとめ)

これから日本の多くの会社において、人材不足が大きな問題になってきます。

その一番の解決策は、社員一人当たりの生産性を上げることでしょう。

そして、生産性を上げる一番良い方法は、「自動化」です。

単なる「高速化」では、スタッフへの負荷が増すばかり。

そうではなく、「自動化」であれば、今まで一人当たり「100」の生産量だったものを、「130」や「150」にすることも夢ではありません。

 

 

ここ数年のAIの驚異的な進歩もあり、DXに対して積極的であるかどうかは、死活問題となってくるでしょう。

ただ、日本の多くの会社がシステムとして、DX導入が苦手であることも確かです。

欧米では、「CDO」といった肩書を持った「社内にデジタル推進の統括責任者(Chief Degtal Officer)」を置いていることも珍しくありません。

日本にも、「情報システム部」や「電算部」といった一見すると社内DX化に向いた部署がありますが、その権限や人員不足を鑑みるに多くの場合、荷が勝ちすぎているように思います。

本当に社内のDX化を図るのであれば、新たな部署を設置するか、積極的に外部のプロの力を借り、トップダウンで推し進める必要があるでしょう。

ここ数年、著しい成果を出している会社は、総じてその方面に投資していますね。