2025年は、「AIエージェント元年」ということで、至る所でこのワードを見かけるようになりました。

孫正義氏も、ホリエモンも、熱烈に取り上げていますね。

AIエージェントとは何か?については、動画などでも取り上げていますので、詳しい説明は割愛します。

簡単に言えば、チャットの小窓に自然言語で命令すれば、それを自動的・自律的にコンピュータが処理してくれるようになるという、いわばコンピュータの秘書のように働いてくれるというものです。

こう聞くと、まるでSF映画のようですね(笑)

とはいえ、一足飛びに完成形にはなりませんが、2~5年程度で皆さんのデスクトップにもAIエージェントの小窓が常駐し、「AIエージェントとの協業」は当たり前になっていると予想されています。

では、それまでに何をしておかなくてはいけないのか?

 

デジタル変革の3つのステップ

企業のデジタル変革は、IT化、DX、そしてAIエージェントという3つの明確なステップを経て成功します。

このプロセスは、家を建てる際の「基礎工事→構造の組み立て→内装・設備導入」に例えることができます。

それぞれのステップが次の段階の土台となり、一足飛びに進むことはできません。

ステップ1:IT化(デジタル化)

IT化は、アナログな業務をデジタルに置き換える段階です。

紙の書類をPDF化したり、手作業での入力を会計ソフトに切り替えたり、対面でのやり取りをチャットツールにしたりする取り組みがこれにあたります。

IT化の目的は業務の効率化ですが、ただ単にアナログをデジタルに置き換えるだけでは不十分です。

この段階で最も重要なのは、「構造化されたデータ」を生み出すことです。

このデータこそが、次のステップであるDX、そしてその先のAIエージェントが働くための燃料となります。

「デジタル化」されていないデータは、あって無いようなものなのです。

 

ステップ2:DX(デジタルトランスフォーメーション)

IT化によってデジタルデータが蓄積されたら、次はDXに進みます。

DXとは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや組織のあり方そのものを変革することです。

DXの代表格と言えるのはRPA(Robotic Process Automation)です。

RPAは、IT化で生まれたデジタルデータを使って、PC上で行う単純な繰り返し作業を自動化します。

これにより、営業の提案資料作成や経理の支払い処理など、定型業務を自動で完了させることが可能になります。

RPAによって単純作業が自動化されることで、従業員はより創造的な「考える仕事」に集中できます。

RPAツールで作成するロボット(フロー)は、AIエージェント時代にもそのまま、もしくは小さな変更で引き続き使うことができます。(PowerAutomateとCopilot Studioの場合)

 

ステップ3:AIエージェントが拓く自律化の時代

IT化でデータが生まれ、DXで業務プロセスが効率化された企業は、いよいよAIエージェントによる「自律化」のステージに進むことができます。

AIエージェントは、決められたルールに従うRPAとは異なり、まるで人間のように自ら状況を判断し、複雑なタスクを遂行します。

顧客とのチャット履歴から関心が高い商品を判断して自動でメールを作成したり、経費データから不正な申請を自動で検知したりするなど、「非定型業務」や「判断」の部分を肩代わりしてくれます。

AIエージェントが働くためには、IT化によって生まれた豊富なデジタルデータと、DXによって整理された業務フローが不可欠です。

上記DXの話の中にもありますが、AIエージェントというのは、それ単体で動く訳ではありません。

「チャット」というインターフェースを介して、裏ではRPAをはじめとした様々なアプリケーションが動く仕組みになっています。

つまり、将来的には「汎用型AIエージェント」と言われるものが、皆さんのパソコンのデスクトップに鎮座し、そこに話しかけることで、AIエージェントに紐づけたされた沢山のアプリケーションが動き、様々な業務が効率的に処理されていくようになるのです。

なので、今、RPAで業務を自動化すること自体、AIエージェント導入への下地になるとも言えます。

 

まとめ:あなたの会社はどのステージにいますか?

アナログ業務が多いなら、まずはIT化を進めましょう。

デジタルデータがあるなら、RPAを導入し、DXで業務プロセスを効率化しましょう。

多くのIT企業が「AIエージェント」を謳ってサービスを提供しはじめていますが、現状では「ヘルプデスク」や「(そのアプリの)ナビゲーション」機能止まりです。

AIエージェント業界では、まだまだ規格の標準化を進めている最中といった具合なので、汎用的に利用できるレベルに達するには、もう数年かかると思います。

とはいえ、2026年には多くの大企業・中堅企業においては、社内ヘルプデスクとして導入するところは、とても増えると予想します。

そして、中小零細企業でも、RPAの導入が増えるのではないでしょうか。