皆さん、こんにちは。
まず最初に「WinAutomationって何?」という方もいらっしゃると思うので、簡単に説明を。
WinAutomationは、マイクロソフトが2020年5月に買収を発表したRPAツールのメーカーです。
ソフトウェアにして珍しく、ギリシャ生まれのRPAツールで、その後イギリスに本社を移しています。
1ライセンス100万円前後が珍しくないRPAツール市場において、10万円前後で利用できるということもあって世界では1万人近くのユーザーがいたそれなりに有名なRPAツールだったのです。
ただ、英語版しかなかったこともあり、日本での知名度はとても低かったことは否めません。
そんなWinAutomationですが、その機能性がマイクロソフトの目に留まり、買収額が未発表ですが、買収されたのです。
マイクロソフトもRPAの分野には進出していたのですが、基本はクラウドの方に力を入れており、デスクトップ側の自動化は弱かったのです。
買収直後、すぐにマイクロソフトのサービスである「Power Automate」の1サービスとして提供され始めましたが、ただWinAutomationをマイクロソフトの認証IDとPASSで利用できるようになっただけでした。
年間ライセンスとしては、ほぼ半額まで下がったことは、ユーザーを喜ばせました。(年間約6万円)
その後、2020年10月、マイクロソフト版のRPAツールとして、「Power Automate Desktop(プレビュー版)」が登場したのでした。
WinAutomationととてもよく似ており、旧ユーザーからは、「日本語版WinAutomation」と呼ぶ人もいるほどです。
ちなみに、2021年6月の時点でも、WinAutomationとPower Automate Desktopは、両方ともサービスは提供中となっています。
ただ、WinAutomationのダウンロードリンクが切られているので、新規の申し込みは事実上停止状態ではありますね。
まだ正式発表はありませんが、ここ数年のうちにPower Automate Desktopに一本化され、WinAutomationのアップデートは無くなるのでしょう。
WinAutomationとPower Automate Desktopの基本的な違い(その1)
Power Automate Desktopですが、単語が長いので、以下「PAD」と表記します。
さて、利用者として一番違いを感じる部分は、「作成したロボットの保存場所」でしょうか。
WinAutomationは、「自分のパソコンの中」に保存。
一方、PADは「クラウド上」に保存。
この違いによって何が変わるのか?と言うと、インターネットへの接続です。
PADは、ロボットを利用するにしても、保存するにしても、必ずクラウドサーバにアクセスする必要があり、ロボット起動時やセーブの時にも、少し待たされるのです。
そして、ロボットの保管が自分の手を離れるということです。
WinAutomationでは、作成したロボットを保存して、USBメモリなどにもコピーできました。
しかし、PADでは、インポート・エクスポートの機能が無いため、そういったことができません。
クラウドサービスということで、マイクロソフトが管理する日本のデータセンターに保存されるということに対して、安心を感じる人もいれば、不便さを感じる人もいるでしょう。
WinAutomationとPower Automate Desktopの基本的な違い(その2)
PADですが、マイクロソフト内にある数多くのサービスのうち、「Power Automate」と呼ばれるカテゴリーの1つに位置づけられています。
つまり、Power Automateの中にも数多くのサービスがあり、それとの連携が出来るということです。
その中には、「クラウド版RPA」と言えるサービスがあり、世界的に有名なクラウドサービスとの連携が簡単に出来るようになっており、自動化の範囲が飛躍的に高まる工夫がされています。
また、話題の「AI(人工知能)」関係のサービスとの連携もあり、まだ開発途中といえるサービスが多いですが、これもWinAutomation単体では実現できなかったものです。
PADユーザーとして見た場合、Windows10やOfficeという世界標準のビジネスツールとの連携において、相性問題をあまり考えなくても良いのも、大きな利点ではないでしょうか。
PAD上でブラウザを利用する際にも、特別な理由がない限り、New Edgeを安心して使えるのが良いですね。
Power Automate Desktopに感じる不満点(その1)
最後に、WinAutomationユーザーから見た場合のPADに対する不満点を挙げてみたいと思います。
まずは、「PADは、操作がもっさりとしている」。
WinAutomationは、とても軽くて、操作がとても機敏でした。
アクションを差し込むにしても、WinAutomationでは、スッと入ったのですが、PADでは1,2秒の間が発生します。
初めてのRPAがPADのユーザーであれば、気にならないかもしれませんが、WinAutomationの後継機種として認識しているユーザーとしては、少々ストレスを感じる部分なのです。
Power Automate Desktopに感じる不満点(その2)
「パソコン上の処理を自動化するにあたり、WinAutomationにはあった機能が、PADには無かったりする。」
PADは、2021年3月に正式版としてリリースされたのですが、WinAutomationでは普通に使っていた機能が一部存在しないのです。
「なんで、あの機能が無いの?必要でしょ?」とよく思ったものです。
ただ、正式版のリリース後、マイクロソフトのPADのアップデートの早さには驚かされます。
まだWinAutomationに追い付いていない部分は確かにありますが、毎月、(WinAutomationにはあった)機能の追加がされています。
ソフトウェア業界の慣習でしょうか、とりあえず動く状態になったものをリリースして、徐々に修正していくというのが多いですね。
悪く言えば、「見切り発車」感は否めませんが、この業界ではこれが普通と思って我慢するしかありません。