今、飛ぶ鳥を落とす勢いなのが、「AI-OCR」です。

プリントアウトされたもの、もしくは手書きの紙媒体から、画像データに変換し、そこからテキストを抽出するというOCR(光学式文字読み取り装置)の進化版です。

なぜRPAの話なのに、OCRの話をしているのか?といいますと、RPAソフトにもOCR機能は標準で付いているほど、ニーズがあるからです。(RPAソフトについている標準のOCR機能は、ビジネスで使うには精度が低すぎますが。。)

 

東京ビッグサイトなどで行われている業務自動化の展示会に行った人の話を聞くと、「RPAよりもAI-OCRのブースの方が、人も多くて盛り上がっていた!」といった状態だそうで。

特に日本は昔から紙媒体を良し!とする文化がありますから、これをなんとかしたいと考えている経営者・マネージメント層は多いでしょう。

ここをデジタル化できるだけで、人件費としては結構削減できるのに!という会社も少なくないのです。

本来は、紙媒体が出てくるフローの見直しが一番良いのでしょうが、社内だけでなく社外も絡んでくると、おいそれとは変更しづらいのは、理解できます。

特に高齢の方が多い業界だと、未だに「注文書はFAXで送りたい。その方が速いし間違えないんだ!」というニーズもあるでしょう。

 

「AI-OCR」の抱える課題

さて、そんなこんなで大変ニーズのあるAI-OCRですが、課題が大きく2つあるように感じます。

課題その1:「価格」

ホームページ上では「要相談」となっている会社も多く、作業量によっては導入しても元が取れないという会社も少なくないでしょう。

大手の保険会社や銀行が使っているAI-OCRは、かなりカスタマイズして利用するそうで、導入後も専属の担当者がつく形も多いようですね。

なので、初期費用はもちろん、月額も数百万円以上かかっているそうです。

汎用性の高いAI-OCRの安いサービスでいえば、初期費用20万円~、月額10万円~というのもあるので、「これならなんとかなる!」というのであれば、チャレンジしてみても良いかもしれません。

 

続いて、「価格」の問題よりも大きいのが、

課題その2:「精度」

通常の「OCR」に比べると比べ物にならないほどの精度を誇る「AI-OCR」ですが、まだまだ人間が介在するのに比べると、見劣りします。

つまり、AI-OCRから読み取ったデータをそのまま使えない場合が多いということです。

日本語においては特に漢字、それも筆記となると、それは認識が難しいでしょうというのは、容易に想像がつきますね。

なので、ここで1つ工夫が必要となってきます。

 

実際に「AI-OCR」を使って自動化するために

■AI-OCRで読み取ったものを、逐一、人が目視でチェックする

精度に問題があるとはいっても、人が打ち込むよりは断然速いし、精度も9割超え。

であれば、最終チェックの部分だけ、人が目視にて介在するようにすれば、十分に使えるツールとなるでしょう!という考え方です。

これを採用するかどうかは、最終的に「人件費 > 導入費用・維持費」によると思います。

 

 

■数字に特化して、AI-OCRを利用する

応用として素晴らしいと思わされた導入の実例です。

AI-OCRと言えど、漢字の読取については、人が処理するのに比べると劣ってきます。

しかし、数字に関しては、ほぼ100%の精度で認識するそうで、そこに特化しフローを見直したという企業があります。

つまり、販売店から届く申込書などにおいて、番号と商品を紐づけし、それをAI-OCR + RPA に合わせ技で、社内の発注フローに乗せたという訳です。

今あるものを上手く使っている実例ではないでしょうか。

 

ただ、「100%ではないのですよね?」と言われると、人が対応した場合でも100%ではありえませんから、そこまで絶対的な精度を求める場合には、どこかでダブルチェックするスキームを入れるべきでしょう。

将来的には、過去の申込データと突き合わせて、AIが「いつもより発注量が多いようですが、本当に数字合っていますか?」といったアラームが出るような仕組みになるとは思いますが、どうでしょうか。