RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は業務効率化の強力なツールですが、導入時に見落とされがちな隠れたコストが存在します。

これらのコストを事前に把握し、適切に対応することが、RPAの成功につながります。以下に、見過ごしがちなコストとその対策を紹介します。

なお、ここでの「コスト」というのは、直接の支払いが発生するものだけなく、社内の誰かが行ってくれることで見えないものの、確実になんらかの負担が掛かっていることを意味しています。

■ 1. 保守・運用コスト

RPAは導入後もメンテナンスが必要です。

システムのアップデートや業務プロセスの変更により、RPAフローの修正や最適化が求められる場合があります。

エラーが発生した場合の対応や、安定した運用を維持するための監視も重要です。これらには人的リソースと費用がかかります。

■ 2. 従業員の教育・トレーニングコスト

RPAを運用するには、ツールの知識を持つ人材が必要です。

従業員に対する教育やトレーニング、継続的なスキルアップが求められ、これには時間と費用が発生します。

内部のトレーニングや外部セミナー、資格取得などが必要となるケースも多く、導入初期の負担が大きくなります。

■ 3. ITインフラの整備コスト

RPAの安定した稼働には、適切なITインフラの整備が不可欠です。

サーバーやPCのスペックを見直す必要が生じる場合があり、ネットワーク環境の改善やセキュリティ対策も必要です。

パソコンにインストールするタイプのRPAツールを導入する場合、RPA用として1台パソコンを用意する必要があります。

社内で使っていない昔のパソコンを使おうとする企業もありますが、スペックが低いパソコンの場合、エラーの確率を高める傾向があるので、新規に購入した方がよいでしょう。

■ 4. フローの管理・監視コスト

RPAフローが正常に稼働しているかを常に確認するための管理・監視体制の整備が求められます。

専任の担当者が必要になる場合や、エラー発生時の対応時間が増えることで、運用コストが増大することがあります。

自動監視システムを導入する場合、そのための追加費用も発生します。

■ 5. 予期しないエラーによる業務中断のコスト

RPAはソフトウェアであるため、予期しないエラーが発生し、業務が一時的に停止するリスクがあります。

これにより、生産性の低下や業務の遅延が発生し、企業の信頼や収益にも悪影響を及ぼすことがあります。

エラー発生時の対応策を事前に講じ、リスク管理を徹底することが求められます。

■ 6. プロセス改善や最適化のための追加費用

RPA導入後、業務プロセスの見直しや最適化が必要になることがあり、その都度の対応費用が発生します。

業務内容の変化に応じてフローを調整する必要があり、それに伴う開発コストも無視できません。

RPAはサードパーティーのアプリをまたいで自動化できるという特性上、ちょっとした環境変化にも対応できません。

そのため、環境変化に合わせて微調整してやる必要が出てくるのです。

これらは、RPAの効果を高めたり、安定した運用のためには避けられないコストです。

■ 7. ライセンス更新や追加のソフトウェア費用

RPAツールによっては、ライセンスは一度購入して終わりではなく、定期的な更新費用が発生します。

また、RPAの運用をサポートする追加ツールやソフトウェアが必要になる場合もあり、これらの費用が導入後のコストとして重なっていきます。

 

RPAの導入には、これらの隠れたコストを十分に考慮することが重要です。

事前に適切な計画と予算を立て、隠れたコストにも対応できる体制を整えることで、RPAの導入効果を最大限に引き出し、長期的な成功を実現することが可能です。

また、RPAツールを使える人材を社内に確保して「内製化」するよりも、場合によっては「外注」にした方がコストを下げることが出来る可能性もあります。

できればツール選択の段階で、方向性を決めておきましょう。