「DX」という単語も、だいぶ一般化してきましたね。
ちなみに「DX」とは、
デジタル・トランスフォーメーションの略で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。(Wikipediaより)
英語で書くと、「Digital Transformation」となり、どうして「X」なのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
これは英語圏において、「Trans」を「X」と表記することから来ています。
「DX」の深い意味とは?
2000年代に入ってから、世の中では「IT化」が強く叫ばれるようになりました。
今や、パソコンが1台も入っていない会社を見つけるのは、大変なくらいです。
それなのに、今更「IT化を進めろ!」とは、どういうことなのでしょうか。
この「DX」がビジネス界で話題になっている最大の理由の1つは、日本政府が頻繁にこの単語を持ち出すからです。
理由としては、先進国に比べて、日本は大きくITリテラシーが劣っており、上手く経営に活かされておらず、国際競争力が右肩下がりになっていることへの警鐘なのです。
個人的には、「そういう政府はどうなの? 新型コロナ接触アプリのCOCOAとか、USBを知らないセキュリティ担当大臣とか、人のこと言えないじゃん!」という気持ちでいっぱいなのですが、それはさておき。
今までの「IT化」というのは、単に「アナログをデジタルに変えた」だけで、付加価値が大きく増しているものではなかったという人もいます。
もちろん、デジタルデータというのは、コピーや加工がしやすく、それだけで大きなアドバンテージがあります。
しかし、他の先進国では、新製品へ結びつけることが上手であるのに、日本においては単に費用削減の目的になっている場合が多いのです。
その原因を辿ると、経営者層の「ITへの理解不足」ということになるでしょうか。
日本は、それなりに大きな国なので、内需だけで経営が成り立つこともあり、あまり危機感を感じずらい環境にあると言えます。
周りの同業者を見ても、それほどITに力を入れていない状況だと、正直必要性を感じないという経営者も多いでしょう。
普通に考えれば、周りが導入していないからこそ、差別化のツールになると思うのですが。。。
IT化が難しい理由
一定の年齢になってから、新しいものへ興味を示すというのは、多くの人にとって難しいことなのです。
私が昔行っていたビジネスの話ですが、ガラケーが主流だった頃で、必着のメールを送信していました。
パソコンから送信するのですが、よくスパムメール扱いされて、届かないことがあったのです。
一応、申し込み画面などに解除方法などを表示させていましたが、それでも上手く解除できない人が一定数いました。
そこである「共通性」に気づいたのです。
上手く解除できない人は、総じて「40歳オーバー」の人たちだったということ。
なぜそんなことになるのか?というと、その時点で40歳オーバーだった人たちは、大学生の頃にPHSや携帯電話を持っていることが当たり前ではなく、インターネットも常時接続では無かった世代です。
そのため、そういった設定変更に慣れておらず、いわゆる「機械音痴」の人が多かったのですね。
人間、一定年齢を過ぎると好奇心は薄れていくものです。
そして、どんどん保守的になっていきます。
そういう私も、音楽などは顕著で、世の中で話題になっている新しいバンドの音楽などを敢えて聞こうとは思いません。
昔から知っているバンドが新譜を出したら、まあ聞いてみようかなぁくらいです。
それと同じことが会社でも起きているのです。
新しくて便利なツールが、どんどん登場しています。
しかし、革新的なツールほど、いままでとは操作方法が大きく異なります。
そのため、使いこなすために、ちょっとした勉強が必要になってくるのです。
会社において厄介なのは、自分ひとりが習得すれば良いという訳ではなく、社員全員に覚えてもらう必要があることが多いということです。
それはもちろん、経営者層も含みます。
そういえば、昔、ある会社の社長さんから、「社内をIT化したいから、相談に乗ってくれ」と言われ、訪問したことがあります。
そこで提案したことは、社内の連絡網が上手く機能していないので、メールではなく、メッセージアプリを提案しました。
結果はどうなったでしょうか?
失敗しました(苦笑)
理由は、その社長自身が「そんな新しいもの、今から覚える気にならない。」と言い出したからです。
社員がメッセージを送っても、社長は「見ていない」と言い、さらには「電話の方が便利でいい」と言い出す始末。
まあ、話のスケールは大小あると思いますが、こんなことは日本中のあらゆる規模の会社で起きていると思います。
もちろん、アメリカなどの先進国でも起きていると思いますが、日本人より勉強熱心であり、危機感を持って経営しているのは間違いないです。
RPA導入においては?
RPAツールは、日本政府も「働き方改革」のツールとして推奨しており、その有効性は確かです。
しかし、他のITツールと同じく、その存在すら知らない経営者は多いです。
現代経営において生産性を上げる手っ取り早い方法は、「IT化・自動化」です。
でも、「現状で困っていない」という認識をしている経営者は多く、変化を好まない人が多いのを強く感じます。
もちろん、保守的であることが一概に悪いことだとは思いませんが、どの世界でも変化は必要であり、変化しないことは「死」を意味します。
ITにおいては、前述の通り、洗濯機や冷蔵庫のように買ってきた日からすぐに使えるというものではありません。
社内システムに関わる場合、データ移行なども含めると、数か月単位の期間が必要になったりします。
ですので、常に少しずつの「変化」を社内に持ち込む必要があると思います。
そんなことを考えると、IT化へのタイムリミットともいわれる「2025年の崖」に落ちてしまう日本の企業は多そうだなぁと感じずにはいられません。