RPAとは、Robotic Process Automationの略であり、本来はホワイトカラーにおける自動化の取り組み自体を指しています。
しかし、通常の会話やネット記事では、「RPAツール」の方を指していることが多いのも確かですね。
で、今回のブログについても、「RPAツール」のお話をしたいと思います。
RPAツールの現状
「未来」を語る前に、ちょっと現状の把握を。
アメリカでは、1980年代に「Automation Anywhere」というRPAツールが初めて登場しました。
そこから遅れること30年ほど。
日本でも純国産RPAツールである「WinActor」が出てきました。
「RPA」という言葉がビジネスの世界で一般的になったのは、賛否両論あるでしょうが、2016~2017年くらいからでしょう。
RPAツールの進化
学術的に、RPAツールは、3つのステージに分けられています。
詳細は他の記事に任せますが、Classという呼び方で、1から3までに分けられています。
とても簡単に言えば、
Class1は、簡単な反復動作の自動化
Class2は、画像認識や音声認識などの認知機能を含んだ自動化
Class3は、曖昧な判断などもAIにより判断可能となる自動化
2021年の現時点において、RPA業界はClass2のステージにあると言えます。
しかし、RPAツール単体での話になると、市販されているRPAツールのほとんどは、「Class1」の機能を満たしているに過ぎません。
RPAツールの未来
ここからが、本題というか、私の未来予想になります。
現在、Class2の機能を利用したい場合には、サードパーティーと呼ばれる会社が提供しているサービスを利用することで、実現可能になっています。
国内・海外を問わず、様々な企業がそのようなサービスを提供しています。
Class2の機能として代表的なものは、認知機能といわれる「画像」や「音声」を人間のように認識するというものです。
例えば、ベルトコンベアーを流れる商品の画像から、リアルタイムに不良品を検知するといったものです。
世界的にみて、これが得意な会社と言えば、GoogleとかMicrosoftとか、あとはAmazonといったIT企業になります。
もちろん、日本にも多くのIT企業があり、優秀な人を多く抱え込んで新技術を研究している会社があります。
しかし、研究開発費の金額があまりにも違うのです。
GAFAM(Google,Amazon,Facebook,Apple,Microsoft)クラスになると、毎年の研究開発費は「1~3兆円」規模なのです。
GAFAMでは、世界中の「天才!」と言われるような人をかき集め、莫大な研究開発費をもって最先端の研究を進めている一方、日本のIT企業では一生懸命捻出しても年間数百億円レベルでしょうから、とても太刀打ちできないのです。
今はまだ、日本企業は自社で優れたプログラマーを集めて、自社独自サービスを研究開発している会社が多いですが、恐らく近い将来には、完全に研究の方向性が変わると思うのです。
それは、『GAFAMが提供するサービスを利用して、自社サービスを提供する』というもの。
どういうことかと言うと、GAFAMが独自に集めたビッグデータから独自AIを使って造り上げたサービス(画像認識とか音声認識など)があります。
それを自社のサービスに組み込んで、知らない人が見れば、あたかも全て自社で開発したかのような商品として日本の企業は世の中に販売するということです。
これは別におかしいことでも何でもありません。
TOYOTAが自動車部品を全部自社で製造している訳ではないのと同様、自分達で作るより安くて良い製品が手に入るのであれば、そうすべきです。
話を「RPAツール」に戻しますと、RPAツールのClass2・Class3サービスの提供においても、同じことになると思うのです。
自社で莫大な資金を投入して、AIの研究開発をして精度90%のサービスを提供するよりは、GAFAMのサービスに乗っかって精度99%のサービスを提供する方が得策と判断する企業は多いと思うのです。
もちろん、前者は利用料金がライセンス料に含まれるかもしれませんが、後者は従量課金(使ったら使った分だけ支払う課金体系)になってくるでしょう。
その際には、利用頻度によっては、前者を選ぶユーザーも出てくるかもしれませんが、自動化という観点から言えば、精度の方が重視される傾向になると思います。
現在市販されているRPAツールを見ると、玉石混交といった具合で、会社の規模も様々です。
ということは、RPAツール制作において、Class1ではそれほど技術力もコストも要求されないと言えるかもしれません。(もちろん、比較の話です。素人が数年勉強したら作成できる!というような代物ではありません。)
しかし、Class2から要求されるAIの開発力となると、問われる技術力もコストも桁違いになり、ツールとしての品質が目に見える差となってきそうです。
となると、一部の大企業を除くと、Class1をベースにして、Class2,Class3の機能を利用する時には、単にGAFAMのサービスへの仲介を果たす機能を付けることにより、進化していくものと考えられます。
つまり結論としては、有名・高額なRPAツールを使わなくても、比較的マイナー&リーゾナブルなRPAツールでも、将来的にほぼ同じ機能を備え、ほぼ同じことが実現出来るのではないかと予想します。(本当にマイナーなRPAツールは、ここ数年で市場競争に負けて、どこかに吸収されるか、消滅すると思いますが。)