今、私が非常に興味あることの1つとして、「北見市が財政緊急事態にあること」です。

北海道の道東に位置する「北見市」は、私にとっても縁もゆかりもないのですが、気になるのです。

ちなみに、今、北見市がどういった状態なのかを下記にまとめてみました。

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北見市は、2024年に「財政緊急事態」を宣言しました。しかし、市の財政計画では、令和8年度以降、毎年度30億円の収支不足が見込まれています。

その結果、市の貯金は減少し、将来の借金の重さを示す「将来負担比率」は、財政再建団体である夕張市を上回り、全道で最も悪い数値となっています。

このような状況の中、市は公共料金の値上げや、ネーミングライツなどの対策を進めていますが、抜本的な改善には至っていません。このままでは、数年で財政再建団体に転落する可能性が非常に高まっています。
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この記事を見て、多くの人は思うでしょう。

「どうしていきなりそんなことになったの?」と。

一番の原因は、次の通り。

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平成の大合併という「甘い罠」
北見市は、平成の大合併によって、周辺の3つの町(端野町・常呂町・留辺蘂町)と合併しました。

この合併は、国が提供した「合併特例債」という名の「甘い罠」に誘われたものです。

 

●「有利な借金」という幻想:
合併特例債は、ほとんど市の負担がない「有利な借金」として売り込まれました。これにより、合併した市町村は、新庁舎や道路といった、大規模な公共事業を次々と行うことができました。

しかし、これはあくまで「借りたお金」であり、その返済と維持管理のツケは、将来にわたって、市民が背負うことになったのです。

 

●「行政の失敗」の連鎖
1.合併特例債に依存した結果:
市は、財政の健全性よりも、国の制度を利用して「大きなハコもの」を作ることばかりに集中しました。

2.人口減少への無策:
合併によって市の面積は広がったものの、人口減少に歯止めをかけることができず、税収は減り続けました。

このように、「平成の大合併」は、北見市が、自らの手で将来の首を絞める、最初の一歩となってしまったのです。
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これらを第三者目線で言えば、「市長や市議は、一体何をやっていたの?職務怠慢ではないですか?」と思うでしょう。

実際、これらのニュースが掲載されているYoutubeのコメントなどを見ると、そんな彼らの責任を問うものばかりです。

もちろん、北見市も2024年に慌てて「財政健全化計画」を策定・発表しました。

・ごみ袋の値上げ: 指定ごみ袋の価格を最大1.5倍に値上げする計画
・公共施設の統廃合: 施設の維持管理費を削減するため、植物園「緑のセンター」などを閉鎖する見通し
・公共サービスの縮小: パークゴルフ場の廃止や、公園の草刈り回数削減、図書館の分室・分館の廃止などが検討
・人件費の削減: 市長の報酬を30%減額するほか、幹部職員の役職手当やボーナスを削減する計画
・ふるさと納税の増額: 財源確保のため、ふるさと納税の寄付金を大幅に増やすことを目指す

しかし、2025年9月17日のニュースでは、

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北見市の財政構造を分析する森裕之教授

北見市の財政を学ぶ勉強会が、市内の北ガス市民ホールで開かれた。
立命館大の森裕之教授(地方財政論)が講演し、北見の財政構造を分析。
「財政収支の見通しがこのまま進めば、間違いなく財政破綻する」と警鐘を鳴らした。
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となっており、このままいけば、今後10年程度で夕張市と同じように「財政再生団体」に入るでしょう。

■「またやり直せばいいじゃないか!」は無理ゲー!?

この「財政再生団体」に指定されると、実質ゲームオーバーと言えるでしょう。

一見すると、「再生されるのだから、大丈夫なのでは!?」と考える人もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際には借金返済のために市民サービスを大きく削られることになりますから、夕張市のようにその不便さから、多くの若者やファミリーが転出となってしまうのです。

2025年現在、北見市は11万人程度の市ですが、もし10年以内に「財政再生団体」に入り、そこから更に数年間借金返済を続け、ようやく返し終わった頃にはどうなっているでしょうか?

恐らく、人口は5万人前後まで減少、さらに老齢人口の割合は60パーセントを超えている可能性が高い。

そして、借金を返し終わったと言っても、新しいサービスを始めるお金は無い訳です。

「お金」は無いし、「若い人」もいない。

この条件では、もう誰がトップになっても巻き返せないでしょう。

生成AIも、その状態になってからの復活は「事実上、ほぼ不可能」と言っています。

■解決策はないのか?

まず言えることは、「彼ら(市長をはじめとした職員)だけで何とかしようとするのは無理」ということです。

もう万策尽きている状態というのは、誰の目から見ても明らかです。

再建策を見ても、「守り(削減)」のアイデアばかりで、恒常的な歳入に繋がるような「攻め」のアイデアが枯渇していますね。

「ふるさと納税」倍増!を頼みの綱にしている段階で、行政としても問題ありでしょう。

ここはもう、「市としての存続」を第一に考え、「知恵」と「人材」を外部から取り入れるしか解決策は無いと思います。

昔、NISSANが外部からしがらみの無い経営者としてカルロスゴーン氏を招聘し、V字回復したように、北見市も”しがらみが無く有能な”人材を招聘し、その人を中心に再建策を練るしか、勝ち筋は無いでしょう。