DXは失敗する！？デジタル変革を成功させるための秘訣
近年、「DX」という言葉を耳にしない日はないでしょう。
Digital Transformation（デジタルトランスフォーメーション）の略であることはご存知の方も多いと思いますが、単なる「IT化」と何が違うのか、いまいちピンとこない方もいるかもしれません。
しかし、このDXへの取り組みは、企業の未来を左右すると言われるほど重要性が増しています。
実際に、DXに取り組まない企業は株価が下落するとも言われているほどです。
DXとIT化、その決定的な違いとは？
IT化は、既存の業務プロセスを効率化するために情報技術を導入することを指します。
例えば、手作業で行っていたデータ入力をシステム化したり、紙の資料をデジタルデータに移行したりするといったことがIT化にあたります。
一方、DXは、デジタル技術を用いてビジネスモデルや企業文化そのものを変革し、新たな価値を創造することを目指します。
顧客体験の向上、新しい製品やサービスの開発、競合優位性の確立など、IT化が「業務の効率化」に主眼を置くのに対し、DXは「企業の競争力強化」にまで踏み込む、より戦略的な取り組みと言えるでしょう。
なぜ多くのDXは失敗に終わるのか？
DXの重要性が叫ばれる一方で、実際に成功している企業は決して多くありません。
その理由はいったいどこにあるのでしょうか？
目的と手段の逆転
最も多い失敗要因の一つに、目的と手段が逆転してしまうケースが挙げられます。
例えば、「最新のAIツールを導入すればDXが成功する」といった短絡的な思考に陥り、ツールの導入自体が目的になってしまうことがあります。
本来は、企業が抱える課題を解決し、新たな価値を生み出すための手段としてデジタル技術を活用すべきなのです。
専門知識を持たない現場への丸投げ
「現場に詳しいから」という理由で、デジタル技術に関する専門知識を持たない現場の担当者にDX推進を丸投げしてしまうケースも散見されます。
しかし、ITリテラシーが必ずしも高くない現場に任せきりにしてしまっては、効果的な施策を打ち出すことは困難です。
結果として、誰もが使いこなせないシステムが導入されたり、既存の業務プロセスをデジタル化しただけで終わってしまったりする事態に陥りかねません。
外部コンサル主導の落とし穴
一方で、外部のコンサルタントにDX推進のすべてを委ねるのも危険です。
外部コンサルタントは確かに専門知識を持っていますが、企業の内部事情や文化を深く理解しているわけではありません。
そのため、自社の実情にそぐわない提案がなされたり、やはり目的と手段が逆転したソリューションを導入しようとしたりすることがあります。
DXは、現場の課題を最もよく知る社員が主体的に関わり、ボトムアップで進めていくのが理想的です。
しかし、本業を抱える社員に「空いた時間に少しずつ進めてくれ」と丸投げするのも現実的ではありません。
DXは片手間でできるような取り組みではないからです。
DX成功への道筋：協力体制と小さな成功体験
では、どうすればDXを成功に導けるのでしょうか。
いくつか重要なポイントを挙げます。
部門横断的な調整とトップの権限
DXは、特定の部署だけで完結するものではありません。
多くの場合、複数の部署をまたがる業務プロセスの変革を伴います。
そのため、各部署間の調整役となり、時には強いリーダーシップを発揮して協力を促すことができる人物、あるいはトップダウンで強制的にでも協力体制を構築できる権限が不可欠です。
みんな忙しい中で、いくらでも協力しない理由は挙げられます。
「今よりもみんなが働きやすい環境を作るために協力する」という共通認識と雰囲気を醸成できるかどうかが、大きな鍵を握るでしょう。
DX専門部署の設置と各部署との連携
DXを推進するための専門部署を設置することも有効な手段です。
しかし、この専門部署が孤立してしまっては意味がありません。
各部署の協力なしには、全社的なDXは実現できません。
専門部署がハブとなり、各部署のニーズを吸い上げ、連携を密にすることで、より効率的で実効性のあるDXが可能になります。
小さな成功体験の積み重ね
いきなり大規模なDXプロジェクトを立ち上げるのではなく、まずは小さく始めて、小さな成功体験を積み重ねていくのがおすすめです。
例えば、特定の部署で効果が見込めそうなツールを導入してみる、あるいは特定の業務プロセスだけをデジタル化してみるなど、スモールスタートを切ることで、リスクを抑えながらノウハウを蓄積できます。
小さな成功は、周囲の理解を得るための強力な材料にもなります。
手前味噌になりますが、RPAを使った業務自動化などは、とても良い経験になります。
今まで数十分掛かっていたものが、RPAロボの作成後はスタートボタンを押すだけで、済むようになります。
その光景を見ると、ほぼすべての担当者は、「凄い！」と唸らずにはいられません。
「こんなに便利になった」「業務が効率化された」といった具体的な事例は、DXへの抵抗感を減らし、他の社員のモチベーション向上にもつながるでしょう。
特に、デジタル技術に馴染みの薄いベテラン社員にとっては、新しいツールを一つ覚えること自体が一苦労です。
例えば、Teamsのようなコミュニケーションツール一つでも、使い方を習得するには時間とサポートが必要です。
小さな成功体験を通じて、少しずつデジタルへの抵抗感をなくし、DXへの関心を高めていくことが重要です。
DXは一朝一夕に成し遂げられるものではありません。
しかし、適切なアプローチと粘り強い努力を続けることで、企業は新たな成長の機会を掴み、持続的な競争優位性を確立することができます。
あなたの会社は、DXを成功させるための準備ができていますか？
