前提として、ここでのRPAツールは「PowerAutomateDesktop(PAD)」の話とします。

個人的には「WinActor」もしばらく使っていましたが、数日間連続稼働をさせたことがないので、実際に運用実績のあるPADの話として聞いてください。

 

RPAツールの謳い文句としては、「人間に代わって、パソコン上の反復作業を高速で繰り返してくれます!」というのがあります。

であれば、24時間365日動かしても問題ないはず!

ここでこう思った人もいるはずです。

「そんなにずっと動かしていなくていけない業務ってある?」

 

そうですね。。

例えば、あるオークションサイトにおいて、一定の条件を満たしたものが出てきた場合のみ応札するとか、メール受信をトリガーにして受注処理をするとか、探せば色々出てきます。

なお、マイクロソフトのRPAツールである「PowerAutomate」に関しては、「クラウドフロー」と「デスクトップフロー(PAD)」があり、前者の方で自動化可能な場合は、マイクロソフトが管理しているサーバー側で処理されますので、それほど問題ありません。(それでも止まるけど)

問題は、後者の方。

PADは、ローカルPC上でRPAが動くことや、仕様が様々な他社のアプリやブラウザに信号を送信して操作する都合上、安定しづらいのです。

 

■デスクトップフローの常時稼働はどうなの?

結論から言えば、数日で止まる場合が多いです。

もちろん、エラー時の対応として、リトライなどは設定しますが、それでも止まりやすいです。

止まり方としては、今まで問題なくこなせていた画面上のボタンを押せなくなるとか、ウィンドウを認識できなくなるといったものが多いです。

正確な原因は分かりませんが、なんだかんだ言ってもコンシューマ用のパソコン上で動いているアプリケーションですから、それなりの負荷を長時間かけ続けることに対応できないのでしょう。

もしこれが、高性能なサーバー上で稼働することを前提として作られたRPAツールで、データーセンターで管理されているサーバーで運用したら、話は違ってくるのかもしれません。

 

■その場合、どうやって運用しているの?

「数日以内に止まる」ことを大前提として運用します。

運が良ければ、1週間以上問題なく動き続けるでしょうが、運任せでは仕事になりません。

そこで、「RPAがちゃんと動いているかどうか?」を確認する仕組みが必要になってきます。

 

<テクニック(その1)>

エラー時には、指定のメールアドレスに報告メールが即座に飛ぶように設定。

これにより、RPAが止まったことを知り、再度スタートさせ直すということを行います。

この場合、パソコンの近くにいなくても対応できるようにするため、何らかのリモートアクセスツールを用意しておく必要も出てくるでしょう。

 

<テクニック(その2)>

毎回必ずエラーメールが飛んでくれるのであれば、それほど心配しなくても良いかもしれません。

しかし実際には、そうではありません。

Windowsの強制アップデートが走ってRPAアプリ自体が突然落ちたり、パソコン自体がフリーズすることもあり得ます。

そうなると、RPAが死んでいるので、エラーメール自体が発信されないのです。

そのための対応として、RPAに「アライブメール」と言われるものを定期的に発信させる方法があります。

つまり、例えば1時間毎に指定のメールアドレスに向けて、「僕、生きてるよ!」という内容のメールを送信するということです。

それが届かなくなっているということは、RPAの方に何かあった!ということを意味します。

とはいっても、そんなに常時メールを本業の傍ら意識して監視するのは不可能に近いし、夜間は人間側が寝ているでしょうから、メール不着にすぐ気づかなかった!ということも普通に起こるでしょう。

また、従業員に休日も毎時間メール着信をチェックさせるというのも、ブラック企業すぎます。

 

その他、RPA用の監視パソコンを別途用意して、何らかの監視ツールを使うといったような方法もありますが、そこまで常時稼働が必要な作業をRPAにさせるというのは、個人的にはどうかなと思います。

 

■まとめ

理屈の上ではRPAツールを24時間365日動かすことはできますが、結構頻繁に止まることを前提に考えてね!ということになります。

もし長時間だれもRPAが止まっていることを気づかなかった!といった事態が起こった場合、社内で大きな問題になるというケースでは、運用方法をかなり考える必要があります。

仮にダブルチェック的な考え方で、「みんなで監視」といった業務ルールにしても、人間がやることですから、それなりの確率でトラブルが起こるのは目に見えています。

RPAツールによる自動化は、ある意味力技であり、簡易的なものです。

「どうしても止まっては困るのだ!」というのであれば、業者にちゃんとしたプログラミングでのシステム構築を発注すべきでしょう。

但し、その際の外注金額はRPAでの構築に比べてゼロがいくつか多いことになるかもしれませんが。。