多くの人が陥りがちな罠といいますか、自分の考え方が正しいと思いがちですよね。
特に自分が経験したものだと、「自分はこの業界に10年以上いるのだから、外部の者よりも絶対に詳しくて、正しいはずだ!」と。
もちろん、未経験者よりも経験者の方が、正しいことが多いのは確かです。
しかし、気が付けば「ゲームチェンジャー」と言われるような、業界を一変させるような出来事や考え方が登場する場合もあります。
昔は正しかったという危険性
私がここ数年で驚いたことを2つ挙げてみたいと思います。
まず、1つ目は、「ダイヤモンドが一番硬い物質ではなくなったこと」。
ダイヤモンドの硬さは、絶対的なもので、この先もずっと一番だと思っていたのですが、私が知らないうちにもっと硬い物質が見つかっていました。
詳細については、ググってみてください。
次は、バスケットボールにおいて、「シュートを打つのはゴールに近ければ近いほど成功率が上がるので良い!という訳ではないこと」。
私、中学校・高校とバスケットボール部に所属していました。
当時は「スラムダンク」も流行っていた時期でもあり、NBAではマイケルジョーダン率いるシカゴブルズ全盛期でした。
その時のバスケットボールは、背が高くて体が大きくてパワフルなセンターがもてはやされていました。
まあ、普通に考えれば、遠くからシュートするよりも、センターにボールを回してそこで確実に点を取る方が確率から言っても正しいように思えます。
それが、今ではガラリと変わりました!
今、求められているプレイヤーは、とにかく3ポイントを高確率に入れることが出来る選手なのです。
NBAでは、「スティフィン・カリー」という選手が有名で、その射程距離・成功率は漫画の世界といっても過言ではありません。
試合では平均4割以上の3P成功率を誇り、練習では5分間で102本連続ノーミスで3Pを成功するとか、私が高校時代に想像しなかったプレースタイルが当たり前になっています。
それは、NBAだけでなく、日本の高校バスケットボールでも同じです。
全国大会に出てくるようなチームは、当然のように3Pをバンバン打ってきます。
NBAのデータによると、全選手の「3Pのライン外」と、「3Pラインちょっと内」のシュート成功確率を比較した場合、前者の方が高いのです。
私たち世代の常識で言えば、遠くよりも近くの方がシュート成功確率が高いのが当たり前と思ってしまいがちですが、実際はそうではなかったのです。
こうした選手の登場があり、各チームの監督が求めるゲームメイキングも変わりました。
パワフルで高身長なセンターの選手よりも、小柄でも遠くから高確率でシュートを入れられる選手の方が評価が高くなっているのです。
経験が通じない怖さ
このような例は、鉱物やバスケットボールに限ったものではないでしょう。
どの業界でも「ゲームチェンジャー」と言われるような、今までにない画期的なものが突然現れる可能性はあります。
興味深いのは、ビジネスにおける「ゲームチェンジャー」は、業界の垣根を越えて出てくることが少なくないことです。
そして、ライバルの定義もしかり。
同業他社がライバルだと考えていたら、全然違う業界にポッと出てきた会社にお客様をごっそり持っていかれるという時代になっています。
その遠因は、言うまでもなく「IT」です。
例えば、航空業界では、各社お客様の取り合いを行っていたら、ZOOMなどのツールの登場により、移動という行為自体をかなり無くしてしまったという訳です。
ですので、その業界において圧倒的トップであったとしても、別の業界にも目を光らせていないとダメな時代になっているということです。
こういったことは、その業界の経験がいくらあっても役に立たないでしょうし、逆に過去の成功が足を引っ張るということもあるでしょう。
とはいえ、社長一人があらゆる業界をチェックするというのは、現実的ではありません。
システムとして、そのような業界や会社を定期的にチェックする仕組みを会社の中に持つようにした方が良いのでしょう。
また、前提条件として、経営者層にそのビジネスモデルを理解できるだけのITリテラシーも必要とされますので、日ごろからITにある程度精通しておくことは、すべての経営者の必須条件と言えそうです。