ご存知の通り、IT業界にはとても数多くのITツールが登場しては、消えていきます。
登場時には「革新的!」と言われ一世を風靡したようなITツールですら、10年も経過すれば、「あぁ、そういうのあったよね。当時俺も使ってたよ。」といったオワコン・レガシー的な扱いをされることは珍しくありません。
そこには提供会社の資本の大きさはあまり関係なく、どれだけ市場で評価を得ているのか?どれだけのユーザー数を抱えているのか?によって決まってきます。
まさに弱肉強食の世界です。
さて、本題に。
RPA(Robotic Process Automation)ツールは、長続きするのか?
結論から言えば、「長く利用され続ける」と言えるでしょう。
まあ、どの程度の期間をもってして、「長く」と言えるのか人それぞれだと思いますが、短くとも今後30年くらいは行けると思っています。
なぜ、「30年程度は利用され続ける」と考えているのか?を説明してみたいと思います。
RPAが支持されている理由を考えると、「他アプリケーションをまたいで、自動化できる」という点です。
Excelだけ、その会計ソフトの中だけという自動化は、今までもありましたが、複数の関係ない会社のアプリケーションまでも自動化できるのは、RPAツール独特な強みです。
そのため、痒いところに手が届く自動化というのも、低価格で出来てしまうのです。
RPAツールの終焉というのは、いつ来るの?
それは、ズバリ「AI(人工知能)に完全に取り込まれる時」でしょう。
今も少しずつですが、AIの機能との融合が始まっています。
それが究極的に進化すると、今我々がRPAツールで行っているように、いちいち「どこの値をどこへ入力して・・・」といったことをマウスとキーボードを使って指定しなくても良くなるかもしれません。
つまり、「RPA」というもの自体が「AI」に取り込まれ、「RPA」という単語が消えてなくなるのです。
そうなると、その時にはバックオフィスの仕事のほぼ100%を自動化することができる状態になっているはずなので、世の中全体において人間は働かなくても良い状態になっているかもしれません。
個人的な考えですが、仮に2045年に「シンギュラリティ(技術的特異点)」が来るとして、そこから指数関数的にAI&RPAが発達したとしても、完全自動化が可能になるのは、2060年以降になるのではないでしょうか。
その頃には、家庭に家事用ロボットも普及しているかもしれませんね。
RPAの近未来
とまあ、一気に終焉までの話をしましたが、もっと近い将来の話もしてみましょう。
今のRPAツールは、それなりに操作が複雑です。
その一因となっているのは、自動化対象のアプリケーションの造りがバラバラであることです。
その点、最近では「クラウド化」が進んでおり、近い将来新しく発売されるほとんどのアプリケーションがクラウド化され、ブラウザーを介して利用できるようになると思いますので、必然的に仕様が統一化されてくるはずです。
そうすると、RPAツールメーカーは、今よりも安定&操作しやすいRPAツールを提供できるようになると思います。
画一化されたものに対して、事前にひな形的なロボットを用意することで、ユーザーとしてはほとんど手を加えなくても安定して動くロボットを利用することも容易になってくるでしょう。
現在主流の「デスクトップ型RPA」から、「クラウド型RPA」へ軸が移っていく形ですね。
そうなった時には、確かにRPAエンジニアの出番は減ってくると思います。
その一方で、RPAツールと他サービスとの連携が進んでくる一面もありますので、操作の幅や可能性は広がってきます。
また、日本は「IT後進国」と揶揄されるように、国民性なのか、ITツールの入れ替えスピードが遅い傾向があります。
更に各社ごとに業務形態に合わせてカスタマイズする傾向もあるため、一括で自動化を提供するのが難しいでしょう。
となると、それはそれで全てをひな形でカバーできるはずは無いので、やはりRPAツールの専門家の需要は一定量残り続ける気もします。
という訳で、RPAツール自体の需要と用途は、まだまだ増え続けることが予測されます。
逆に、「RPAツール業界」の中で、生き残りをかけた戦いが行われていき、特定のRPAツールの寡占化が進んでいくのでしょう。
RPAツール自体は、操作の基本となる考え方は、ほぼ共通と考えて問題ありません。
1つのRPAツールをマスターすれば、違うRPAツールを操作する場合でも、それほど時間を掛けずにある程度はマスターできるでしょう。
とはいえ、それぞれのRPAツールにもクセがありますから、出来ることなら将来的に淘汰されることの無いRPAツールを選択し勉強しておくべきということは言えると思います。