マイクロソフトのRPAツールである『Power Automate for Desktop(以下、PAD)』を使い始めて、早1年とちょっと。

当初は、前身となる「WinAutomation」との比較で、どうしても機能不足に不満を感じることが多かったですが、今では機能不足を感じることは少なくなってきました。

私は元々、NTTのRPAツールである「WinActor」を使うRPAエンジニアとして働いていました。

あれはあれで、優れたRPAツールだと思うのですが、如何せん、高額なソフトウェアなので、中小企業において導入するには敷居の高さが懸念点でした。

そうしているうちに、マイクロソフトから無料(有料版もあり)のRPAツールが出たので、そちらに乗り換えたという経緯があります。

 

さて、本題に。

RPAツールは、まだまだ未完成である

RPAツールを毎回同じ環境で利用していると気付きづらいのですが、私のように色々な会社で、色々な環境の元、ロボットを作成していると、嫌でも感じるのです。

「RPAツールって、まだまだ適応出来ていないサイトやアプリが多いな」と。

RPAツールの最大の特徴を1つ挙げよ!と言われれば、私は、

『複数のアプリケーションをまたいで、自動化できること』

と答えます。

単純に自動化だけであれば、機能として備わっているアプリケーションも結構あります。

しかし、自社とは全く関係のないアプリケーションまで自動化できるツールとなると、話は違ってきます。

まあ、2000年代よりも前にRPAツールの前身と呼べるようなものも存在しましたが、画面の座標軸を指定してクリックするといった、かなり原始的なものでした。

それが、ハードウェアやソフトウェアの進化に伴い、UI要素や画像認識を備えるようになり、今では「RPAツール」として提供されている訳です。

とはいえ、実際に使ってみると、時折RPAツールに備わっている機能で、上手く動かないアプリケーションに出くわすのです。

また、RPAロボットを作成した直後は問題なかったのに、納品後に「不安定」との連絡を頂くこともあります。

世の中にあるすべてのアプリケーションが、RPAツールに完全対応してくれていれば、RPAツールの習得も今よりずっと楽になり、導入の敷居もグッと下がるのに。。。

「そんなことは無い!」が「ある」

RPAツールで自動化ロボットを作成し、お客様に納品&保守もしています。

その際に、かなりテストを繰り返して、納品します。

ただ、ご依頼頂くすべてのお客様において「テスト環境」が整っている訳ではないので、ある程度安定して動くことの確認が取れれば、納品してお客様側で本番環境にて「テスト運用」して頂くことも少なくありません。

その中で、「入力時に、●●なことになるんですけど・・・」といったようなご連絡を頂くことがあります。

個人的には、「●●なことになるとすれば、その前にエラーで止まると思うんだけどなぁ」と考えたりするのですが、実際にその画面を見せて頂き驚くということも稀にあるのです。

どういうことかというと、RPAの利用環境が少し異なるだけで、挙動が変わることは珍しくないということです。

これは一般のプログラミングでも同じようなことがあるのですが、原因究明が難しいことも少なくないのです。

では、そういった場合、どのような対応をするのか?

要は、結果として同じ動きになれば良いので、UI要素を使った入力作業であれば、キーの送信アクションを駆使して再現するといった工夫をして対応することが多いですね。

標準機能の1つである該当アクションがちゃんと働いてくれれば、何の問題も無かったところですが、仕方ないので5つのアクションを組み合わせて対応するといった具合です。

私も今でこそ、大体対応策がパッと思い浮かぶようになりましたが、当初は数時間かけてアイデアを捻り出してはテストを繰り返すというようなことをしていましたね。

現在進行形でもありますが、良い意味で多くの難題に鍛えて頂きました(苦笑)

今後、ますますRPAの活躍場所が増えると予想

RPAツールが上手く対応しないアプリケーションの大半は、「とても古い」ケースが多いです。

20年前、ベンダーにお願いして作ってもらった。

そんなアプリケーションを使っている企業は少なくありません。

大手の企業ほど、その傾向があると言えます。

 

造りの古いアプリケーションの特徴として、

①「ショートカットキー」が整備されていないものが多い。

②UI要素が整備されていないものが多い。

が挙げられます。

この「ショートカットキー」と「UI要素」が使えないということは、RPAツールに備わっているアクションの多くが使えないということと同義になってきます。

そうすると、上記のように、使えるアクションを組み合わせて何とか手動の動きを再現する必要が出てくる訳です。

しかし、新しいアプリケーションでは、標準化が進んでいるせいか、そのような造りをしているものはとても少ないので、RPAツールにとって良い環境になってくると思います。