まず、
『RPAは止まるツールである』
という大前提があります。(なので、運用の中で少しずつ修正を加えながら、安定性を上げていくのです。)
理由は色々ありますが、一番分かりやすいのは、RPAツール作成側の視点から見てみることでしょうか。
RPAツールが他の自動化を謳うツールに比べて優位性があるのは、「対象のアプリケーションを(ほとんど)問わない」というものです。
多くのアプリケーションには、「自動化」の機能が大なり小なり付いています。
しかし、それはそのアプリケーション内においての話。
他社のアプリケーションの動作まで影響を与えない(自動化できない)のが、普通なのです。
つまり、ツール作成側としては、すべてが管理下にある中での「自動化」という訳です。
でも、RPAツールは違います。
ExcelやOutlookだけでなく、そのほかのマイナーなアプリケーションでも、それなりに動くように設計しています。
とはいえ、世の中には数えきれない程のアプリケーションがある中、それら全てを網羅できるはずがありません。
なので、普通にロボットを作ったのでは、止まる・止まりやすいということが起こり得る訳ですね。
RPAの保守・運用で起こる問題
RPAツールを使って、かなりの数のロボット(フローorシナリオ)を作成してきました。
そして、その保守・運用も承ってきました。
というか、現在進行形です。
止まりづらい工夫をしながらロボットを作っていますが、それでも「ロボットが止まった!」という連絡を頂くことは珍しくありません。
今回、その原因をいくつかご紹介させて頂き、皆さんが管理しているロボットが止まった時の参考にして頂ければ幸いです。
ロボットが止まった原因
①ロボットの造りが間違っていた
通常は、テストの段階で気づくものですが、時折結果として、すり抜けてしまうケースもあります。
中小企業においては、テスト環境が無く、本番環境でのテストを強いられ、十分な量のテストが出来ずに運用に入るということもあります。
その他にも、利用者から聞いていない、レアケースへの対応をロボットに盛り込んでいなかったということもありました。
また、複数ファイルの処理を後からロボットに盛り込んだ時に、ループ内での変数の初期化設定を忘れており、それがエラーの原因になってしまったということもありました。
②読み込むデータに問題があった
利用者から、ロボットがちゃんと動いていないという連絡を頂き、改めてロボットの中身を確認するものの、原因が分からない。
ダミーのデータを使ってロボットを動かすものの、ちゃんと動いている。
そんな時ありがちなのが、読み込みデータに想定外の値や書式が混ざっているというもの。
利用者としては、いつも通りデータをエクスポートして、それをRPAツールに読み込ませているので、データ自体に違和感を感じることはありません。
場合によっては、データを開いてみても、空欄セルに「半角スペース」が混ざっていたりと、一見しただけでは分からないことも珍しくないのですね。(ロボットは、半角スペースを文字と同じように認識する為、条件分岐などで想定外の処理がされるのです。)
③RPAツールをインストールしているパソコンに問題が発生
通常利用しているExcelにおいて、自動更新が掛かり、ショートカットキーで利用している項目に変更があった。
まあ、このケースは再度ロボットを動かし直せば、すぐに問題箇所が分かるので、それほど復旧に時間は掛かりません。
ちょっと厄介だったケースなのですが、基本24時間365日電源入れっぱなしのパソコンにRPAツールをインストールして運用していたところ、ポツリポツリ不規則に止まる箇所と回数が増えてきたのです。
そしてある時、Excel間の転記が上手くいかなくなりました。
Ctrl+V が何故機能しない!?
解決策として、そのパソコンを再起動したところ、すんなり直りました。
どうやら、長い時間パソコンをずっと動かしていると、メモリに何か貼り付くような感じになり、命令をこなすための処理能力が足りなくなるようです。
私が直面したケースでは、Ctrl+Vが上手く張り付かなかったり、アプリケーション内のフォーム入力が上手くいかなくなるといった症状でした。
④ブラウザの設定に問題があった
「MicrosoftEdge」や「Chrome」といったブラウザがあります。
以前、chromeで該当のサイトを開き、そこから複数のPDFをダウンロードするというロボットを作成しました。
ロボット自体はシンプルなもので、それほど時間も掛からずに作成でき、ロボット納品後も特にトラブル報告もなく動いていました。
しかし、ある時から「ダウンロードしたはずのPDFの数が足りない」と連絡を頂き、実際にロボットの動作を確認してみるのですが、問題が見つかりません。
なので、数日間、リモートにて自分がそのロボットを動かすことにしていたところ、ある時ブラウザに変なポップアップが現れました。
なぜ、同じ条件で毎回動かしているのに、出現する時としない時があるのか?は分かりませんでしたが、時折そのポップアップが出現しては、ダウンロードを妨げていることが判明し、ブラウザの設定を見直すことで解決しました。
以上、4つの原因を挙げてみました。
Power Automate Desktopにも、サイト上でログを確認できる機能があります。
しかし、他のRPAツール同様、ログだけで原因を発見するのが難しい場合も多々あり、やはり実際に該当のロボットを動かしてみて、初めて問題箇所や原因がわかることも少なくありませんね。