この記事を書いている2021年8月27日の時点では、まだ長官が決定されていません。
9月1日から本格的スタートと聞いていましたが、未だに事務方トップが決まらないというのは、日本の政治が混沌としていることを象徴していますね。
デジタル長官に期待すること
一応、石倉洋子女史で最終調整をしているとのニュースが出ていますが、ネット上の評価は芳しくありません。
理由は、大きく分けて2つ。
日本人女性初のハーバード大学でMBA取得し、その後いくつかの大企業で取締役を勤めているとはいっても、実務経験が乏しいように見えること。
あと、年齢が70歳オーバーということで、ドッグイヤーと言われるほど進化の早い業界についてこれているのか?ということ。
そんな理由から、多くの人がどうしても台湾と比べてしまうのでしょう。
中には、「経営のプロなのだから、別にITに精通していなくても良いのでは!?」という意見もあります。
これに関して私見を述べさせて頂くと、
①経営のプロとして実績を残している人は、ほぼ「自分の専門の業界があり、その中でピボットしている」ということ。
つまり、車業界の経営のプロは、飲食業界に行ったり・・・ということはしない。
某ハンバーガーチェーンのトップから、教育関係の会社のトップになっても、大きな成果はあげづらいのです。(まあ、彼の場合は、元の会社でも派閥を強くすることばかりに精を出していたようで、褒められた業績は出せていなかったそうですが。家庭内暴力が常態化していたそうですから、社内での行動も推して知るべしでしょう。)
②トップがITに精通していない場合、No.2に精通者を起用する必要がある。
こうなると、No.1の存在意義が薄くなり、むしろ決定プロセスにおいて、邪魔にすらなることもあるでしょう。
100歩譲って、渋沢栄一氏のように、幅広い業界に顔が利く人ならともかく、そうではない畑違いの人を起用するのは、どうなのでしょうか。
そこまで日本のIT業界は人材不足なんでしょうかね。
No.1とNo.2で、理想を語るNo.1 と それを現実近い形に落とし込むNo.2という役割で分けても構いませんが、IT業界に造詣が深い人を採用して欲しいものです。
オーバーな話ではなく、日本国のシステム構築というのは、本来、高速道路の建設などと同じように、「国家百年の計」の1つだと思うのです。
日本政府が抱える問題点
日本政府が発行する様々なレポートにおいて、
『日本の企業が先進国の中において、とても非生産的なのは、ITを上手く活用できていないからだ』
と言っています。
「おまえがそれを言うか?」と突っ込みたくなる内容ですが、事実であることも確かです。
経営者にしても、周りに参考となる企業が少ないので、何をしたらよいのか分からないという環境になってもいます。
良くも悪くも、足並みを揃えている状態で、内需だけでやっていける島国日本だからこそ許されている環境でしょうね。
それにしても、この「デジタル庁」というのは、大きな可能性を秘めた庁だと思います。
一方で、かなりの権限が無いと、絵に描いた餅になる可能性も高いでしょう。
現在、各省庁でツギハギになっているシステムを一気通貫で統一できれば、日本という国の生産性は飛躍的にアップする可能性があると思います。
デジタル庁が成功するために
そのためにも、もう「システムの外注」は辞めましょう。
政府内で「内製化」すべきです。
海外では、大きな企業ほど社内システムの内製化が一般的なのですよ。
グループの中に、システム開発の会社を作るように、日本政府も立ち上げるべきです。
給与体系も民間より良いものにして、優秀な人材を集めるべきです。
外注しても中抜きが酷すぎて、まともなものが出来ないのですから、そのお金を人件費に回せばよいのです。
現状では、政府内に適切な仕様書をまとめられる人もいなければ、成果物を正しく評価できる人もいない状態です。
だからあんな「COCOA」を代表するような、お粗末なものばかり出来て、挙句の果てには今では誰も使っていないという状況になるのです。
それに外注だと、完成までの時間が掛かりすぎる。
特に日本のように何次受けまであるか分からないような外注先だと、少し変更が入るだけで、伝言ゲームが発生し、途方もない時間が無駄に消費されるでしょうし、混乱を生む原因となりえます。
とまあ、こんな一庶民の私ですら、この程度の解決策は思いつくのに、これを実行できない・しないのは、恐らく何らかの利権やしがらみが働いているのでしょう。
これもまた民主主義政治の限界なのでしょうか?