マイクロソフト製のRPAツールである「Power Automate Desktop」ですが、数多くあるRPAツールの中においても、かなりシンプルな部類に入ると思います。
シンプルと感じる大きな理由として、
「アクション(いわゆるパーツのこと)の数が少ないこと」
が挙げられると思います。
私は、もともとNTTのRPAツールである「WinActor」を使ったRPAエンジニアとして働いていたので、どうしても比較してしまうのです。
WinActorをご存じない方もいらっしゃると思うので、簡単に説明いたします。
WinActorは、日本初の純国産RPAツールとして登場し、特に初学者にとってハードルの低い、わかりやすさを追求した造りとなっています。
どこが分かりやすいの?と言われれば、
①変数に漢字が使える
②フローチャート型の表示となっている
③ライブラリという名前のパーツが充実している(アクションの数が多い)
といった点です。
この点において、「Power Automate Desktop」と比較すると、
①変数に漢字は使えない
②スクリプト型の表示である
③アクションの数は、それほど多くない。(マウスとキーボードの動きを再現するという意味では、必要十分だけど)
一番、違いを感じるシーンはどこか?と言われれば、やはり
「エクセルファイルを扱う時」
でしょうか。
WinActorで作られたロボット(シナリオ)を、Power Automate Desktopに移行させる作業をしていると、如実に感じます。
WinActorのライブラリには、通常マクロを使わないと再現できないことが、それ1つで実現できるパーツが複数あります。
しかし、そういったパーツが標準装備されていないPower Automate Desktopにおいて、同じ動きを実現するにはどうすれば良いのでしょうか?
まあ、速度を問わないのであれば、ショートカットキーなどを多用することで、乗り切れることも多々あります。
しかし、お客様から「WinActorの時には、5分くらいで終わりました。でも、PADに代わってから、15分くらいかかるようになりましたね。」といった具合に比較されると、出来る限りWinActorの時の時間に近づけるようにする必要が出てきますね。(苦笑)
となると、実際にマクロを組んで、Power Automate Desktopでは、「Excelのマクロを実行」というアクションにて操作するということになります。
ただ、マクロを組むといっても、そんな難しいことをする訳ではありません。
そういう私も、今でこそ「Excel VBA Expert」の資格も取得していますが、当初はプログラミングという言葉に対してある種の「恐れ」みたいな感情がありました。(注・・・VBAとは、マクロを組むための言語のことで、Visual Basic for Applicationの略)
VBAのエンジニアとして働くならともかく、RPAでちょっと使うくらいであれば、心配はいりません。
必要とされるVBAの知識でいえば、1日で身につくような、本当に初級レベルです。
もちろん、VBAも知識ゼロですぐに使えるというものではありません。
いくら「とても簡単なプログラミング言語」と言われていても、エクセルにあるエディター画面すら開けない人がほとんどでしょう。(だって、初期状態では「開発」が非表示になっていますから!)
話が少しそれましたが、表題の「Power Automate Desktopにマクロは必要か?」ということの結論を言えば、
「がっつりPower Automate Desktopを業務に使おうとすればするほど、VBAの知識が必要になってくる」
と言えるでしょう。
早晩、関数とショートカットキーだけでは、実現できないことが出てきます。
もともとRPAで実現できないことであれば良いのですが、他のRPAツールで出来ていたことが、Power Automate Desktopでは出来ないとなると支障が出ますからね。
こういうと、RPAの勉強に対して、ちょっと腰が引けてしまう方もいらっしゃると思います。
しかし、実際には「必要なコードをインターネットから探して来て、どこを変更して利用すれば良いのか?」ということが分かるようになれば十分です。
ゼロから、自分でコードを書けるようになる必要はありません。
少なくとも、RPAツールにおける一般の事務作業自動化レベルでは。
心配な方は、当方の「オンラインレッスン(中級編)」において、1時間ちょっとですが、VBAの内容を扱っていますので、ぜひ見てください。