この表題、よく聞かれます。
RPAツールのメーカー自体が、「ノンプログラマーで大丈夫!」と謳っているのだから、独学で習得出来ないのはおかしいですよね?
はい、確かにそうです。
そうなのですが・・・(汗)
今回は、RPAエンジニア目線で、独学習得の可否について語ってみます。
「RPAツール」の独学習得
この表題自体は、RPAエンジニア仲間の中でも、時折話題に出てきます。
結論としては、
『RPAツールの独学習得は、可能である!』となっています。
2021年4月の時点において、だいぶRPAツール関連の情報も習得しやすくなってきた感があります。
Youtubeや書籍でも、メジャーなRPAツールであれば、基礎的な操作方法を学ぶことは出来ますね。
しかし、この結論には、「但し」が付きます。
『作成したロボットが、ただ動けばいいという意味でいえば、独学習得は可能だと思います。
但し、それが単なる「個人利用」ではなく、「社内において長く利用することが出来るもの」という意味では、難しいでしょう』というのが、本当の結論です。
独学では足りない部分とは?
ちょっと意味が分かりづらいですよね!?
皆さんの参考になればということで、私自身の話をさせて頂きます。
私もRPAに興味を持ったばかりの頃は、独学でRPAツールを勉強していました。
メーカーが提供している学習動画やインターネットにあるロボットを真似て作ったりしたものです。
RPAの勉強をしていく中で、プログラミングの基礎知識が必要であることも感じ、独学でVBAの資格も取得しました。
時には、自腹で有料のRPAハンズオンセミナーにも参加しました。
そうやって、何となくRPAツールの動かし方を覚えたものです。
以上のようなことを繰り返し、結果としてかなりの時間を費やしましたが、とりあえず「動く」ロボットがある程度作れるようになりました。
それから紆余曲折あり、ある会社においてWinActorのRPAエンジニアとして勉強させて貰い、数か月後には某自動車メーカーに常駐し、RPAエンジニアとして働き始めました。
そこでは、RPAロボット作成チームの一員として働き始めたのですが、「あぁ、こうやってロボットは作られ、運用されるものなんだ!」ということを知り、とてもショックだったことを今でもハッキリ覚えています。
それまでは、単純に1つの業務をRPAで自動化し、ただ動けばいいと考えていたのですが、業務として使う場合には不十分ということを実感したのです。
車の製造に例えるなら、街乗りを前提とした「コンパクトカー」を作るのと、レースなどの高速走行を前提とした「スポーツカー」を作るのとでは、同じ自動車とはいっても、その設計思想が根本的に異なるというのと同じなのです。
RPAもしかり。
「自分が使うロボット」を作るのではなく、「(自分がいなくなった後に)第三者でも使えるロボット」を前提に設計・作成していきます。
社内でRPAを使う場合、ロボットの保守・運用までを考慮し、メンテナンス性の良いロボットと社内体制を整備することが必須なのです。
でも、こういったことって、巷のRPA本に具体的な方法は書いていません。
システム会社の「社内ノウハウ」というやつだと思います。
なので、独学でここまで習得というのは無理だと言えるでしょう。
独学での運用による限界?
ここまでお話すると、中には「えっ、でもとりあえず動けばいいんじゃないんですか?何かあれば、またその人が対応すればいいだけだし。」と言われることもあります。
確かに、そうですね。
しかし、そのロボットを作った人がこの先ずっと、その会社のその部署にいるとも限りません。
普通に働いていれば、異動や退職というのはあるものです。
沢山のロボットを作っていればいるほど、「引継ぎ」が大変になります。
更にAさんからBさんへの引継ぎだけならまだしも、BさんからCさん、CさんからDさんと経ていくうちに、かなりの情報が抜け落ちていくのが明らかで、そのうち誰もそのロボットの全容を知っている人がいなくなるというのも珍しいことではないでしょう。
この「承継」の部分に関しても、「ノウハウ」の有無が大きな影響を与えます。
話が逸れるようですが、20年程前にVBAによる自動化が流行りました。
当時、VBAが使える人が重宝されたものですが、今現在、その時作られたマクロが社内において時限爆弾になっているという会社も少なからずあると聞きます。
業務にはいまだにそのマクロが必要なものではあるが、メンテナンスできる人がおらず、完全にブラックボックスになっており、もしそれが止まれば、業務全体も止まるという状態です。
RPAによる自動化も下手をすれば、同じことになる可能性は高いです。
という訳で、社内においてRPAの内製化を考える際には、社員の誰かを巷のRPAハンズオンセミナーに行って学ばせればOK!ではなく、社内運用の部分まで具体的に教えてくれる、もしくはサポートしてくれるサービスを選択した方が良いでしょう。
本来、業務の自動化というのは、その会社にとっての『資産』となるものです。
しかし、誤った自動化を行うと、『負債』として残っていくことになるので、気を付けてください。
<PADでのロボット作成を実演してみました!>