「DX」という単語を新聞やインターネットのニュースでよく見かけるようになりましたね。

デジタルトランスフォーメーション(英: Digital transformation; DT or DX)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。デジタルシフトも同様の意味である。。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで用いられる。(Wikipediaより)

これって分かりづらいですよね。

Transformationって単語のどこにも「X」ってないじゃん!

 

それはさておき。

「DX」という単語は知っているけど、実際にDXを意識して経営している日本人経営者は少ないというデータもあるそうです。

これは体感的に分かりますよね。

私自身は、社会人生活の大半をIT業界で過ごしてきましたから、一般の人よりはITサービスに詳しいと思います。

日本の多くの企業において、ITへの投資というのは、確かに他の先進国よりも積極的ではないのです。

ちなみに、「設備投資全体に占めるICT投資の割合」を引用しますと、
米国では、約50%
英国では、約45%
ドイツでは、約35%
日本では、約20%

 

さらにその金額の割り当てを言えば、日本企業では「8割」がた既存システムの維持の為に使われているのだそうです。

つまり、新しいサービスやシステムの導入が非常に少ないのですね。

以上が、数字からみた日本の現状です。

 

どうして日本では新しいシステムへの関心が低いのか?

ここからは私見を述べさせていただきます。

①現在の経営者層は、ITに「馴染み」や「関心」がない人が多い

これは幼少期や青年期の環境が大きく左右していると思います。

多くのケースにおいて、大学生の時までに触れていなかったモノに対しては、浸透度が低いのです。

つまり、社会人になってから新しいものに対して積極的に関わろうとする人は少ないのですね。

その結果、「今、それが無くても会社回っているのだから、必要ないだろう。」といった結論になりがちなのです。

 

②日本は先進国の中でも、ITリテラシーの低い人が多い

日本人のITリテラシーが低いというのは、国際的な調査によるデータでも明らかになっています。

ITサービスの厄介なところは、冷蔵庫や電子レンジのように買ってきてすぐに使いこなせるという代物ではないことです。

会社としてシステムを導入した場合、ほぼ全員にそのサービスを理解して貰う必要があります。

一定水準以上のリテラシーがあれば、説明書などを読まなくてもある程度使えたりしますが、そもそもリテラシーが低い人の場合、新しいシステムを導入することに対して酷く反発する傾向があります。

そういった人達にIT導入を相談すると、「パソコンでやるよりも、紙の方が見やすいし、速い!」といったレベルの議論になり、良くて今使っているサービスの新バージョンへの置き換えがやっとでしょう。

私も以前、ある会社の経営者から社内のIT化について相談されたことがあり、「もう社内メールの時代ではないですよ!チャットワークやSlackといったメッセージアプリを使えば、もっとホウレンソウが上手くいきますよ。」とアドバイスしたことがあります。

しかし結果としては、「インストールしてみたが、よく分からん。電話の方が簡単でいいから、うちには必要ない。」と言われたことがあります(苦笑)

 

③国内の同業他社もITに関心度が低いので安心してしまっている

なんだかんだ言っても、人間周りの環境に流されやすいものです。

学生を例に挙げれば、進学校の生徒は勉強するのが当たり前の環境ですので、親がどうこう言わなくても、自発的に勉強する傾向があります。

一方、そうではない学校にいくと、周りの生徒も勉強していないので、本当に勉強しません(苦笑)

頑張らなくてはいけない!このままではヤバイ!というモチベーションがなかなか湧かないのですね。

また、本人は頑張っているつもりでも、実際には人並に頑張れていないというケースもあります。

ITの導入に関してもしかりで、「周りの会社で入っているところ、あまり聞かないので、まだ(導入しなくても)いい。」と考えてしまいがちです。

実際には、まわりが導入していないからこそ、『競争優位性』を発揮できるのですが。。。

 

 

④ITサービスは、賞味期限が短く複雑である

IT業界が時代の潮流であるということに対して、異議を唱える人はいないでしょう。

世界の時価総額ランキングを見れば、TOP10のほとんどはIT関係の会社です。

インターネットの普及を起爆剤として、数多くのIT系サービスが世の中に溢れるようになりました。

また、サービスの性質上、賞味期限が短いものが多いのも特徴です。

身近なところでいえば、ポケベル⇒ガラケー⇒スマホへのバトンタッチも、ここ20年ほどの出来事です。

「これが一番使い勝手がいい!」と思って導入したサービスが、あっという間に時代遅れの非効率ツール、つまり「がらくた」になってしまうのです。

システムで言えば、ちょっと前までは会社のパソコンやサーバにインストールして利用するタイプのアプリケーションが一般的でしたが、今や多くのカテゴリーでクラウド型が主流になっています。

ずっとIT業界に身を置いている人であれば、まだ話について行けるでしょうが、それを職としない人にとっては、若者と話すアイドル話や音楽話のように、とてもついていけません。

なので、どうしても保守的になってしまうという心情も理解できなくはないのです。

 

 

以上、4つの理由を挙げてみましたが、理由はどうあれ日本の生産性がとても低い大きな要因は、IT化が国際標準に比べて遅れているから!というのは確かです。

海外と比較した場合、0人~1人で終わる仕事を複数人でやっているような状況ですから。

そうした結果、中国をはじめとして、今迄下に見ていた国に、いつの間にか周回遅れの差が付けられています。

だからこそ、政府が「DX」に力を入れ始めており、今更と思われるものの、看板政策として「デジタル庁」を創設することにもなっている訳です。(2000年にあった「e-Japan」構想と同じで、あんまり期待していませんが。。。)

ITサービスへの効果的な投資が行えている企業は、新型コロナの影響も小さく、復旧も早いというデータもあるそうですよ。

もちろん、逆もしかりです。

 

一般の生活では、「安心して生活するために医者、弁護士、ファイナンシャルプランナーの人を友に持て」と言われるようですが、現代の会社経営においてはどうなのでしょうか?

弁護士、会計士(税理士)、ITコンサルタントでしょうか!?

確かに、損得抜きに有益なITサービスを案内してくれるITコンサルタントは、会社の規模に関係なく重宝すると思います。