「幻滅」というと、一般的な用法としては、期待していたほどの結果が出ないことへのがっかり感を表す言葉として使われますよね。

実は、テクノロジーの世界においても、「幻滅期」と呼ばれるものがあるのです。

 

テクノロジーにおける「幻滅期」とは?

新しい機械技術が出てくると、最初は多くの人から歓迎されます。

しかし、ちょっと使ってみると、「コレじゃない!」とか、「思っていた程、便利じゃない!」といった意見が出てきます。

その期待が大きければ大きいほど、その失望は大きくなる訳ですが、この期間を「幻滅期」と呼ぶ人達がいます。

 

まあ、変化の激しい世の中ですから、ハードウェア、ソフトウェアを問わず、ある程度形になったら、すぐリリースされます。

そして、ユーザーからの反応を見ながら、修正していくというのが昨今のスタイルではないでしょうか。

Windowsのアップデートがよい事例でしょうか。

デメリットとしては、不完全な製品を利用したユーザーの何パーセントかは、もう二度と使わなくなるということ。

一方、メリットとしては、市場において先行者利益を享受できること。

この2つを天秤にかけた場合、メリットの方があるということでしょうね。

そもそも、世の中に完璧なものなど存在しないし、民間企業として利益を追求しなくてはいけない都合上、出来るだけ早いタイミングでの市場投入というのは、今後ますますこの傾向は強まっていくのでしょう。

話をRPAに戻します。

 

RPAにおける「幻滅期」とは?

RPAツールメーカーの謳い文句をそのまま書けば、「人間が今まで手作業で行っていたコンピュータの操作を、簡単に記憶・再現してくれる自動化ツール」ということになるでしょう。

一般の人がこの言葉を見れば、ワードやパワーポイント程度の難易度で、社内業務を自動化できると期待しても無理はないです。

その結果、どうなったか?

初期費用の高さをクリアし、導入した企業からは次のような感想が少なくありません。

・思っていた以上に操作が難しい

・ロボットがすぐ止まる。融通が利かない。

・少なからずプログラミングの知識が必要だった。ノンプログラマーには敷居が高い。

・片手間で出来るほど、簡単ではなかった。

・ロボット作成に時間が掛かり、期待したコストパフォーマンスが得られなかった。

以上のような感想から見られる通り、期待値に対して充分な効果が得られなかったという企業は、RPAに対して幻滅しており、周りの人から意見を求められても、「RPAメーカーの謳い文句を真に受けてはいけない。」とネガティブな影響を与えることになります。

 

RPAの「幻滅期」の先にあるものは?

なんだかんだ言っても、RPAはまだまだ黎明期を抜けたところです。

「クラス1~3」の、「クラス1」に位置するRPAツールがほとんどです。

今後、AIとの融合が進むにつれて、融通の利くツールになっていくのは間違いありません。

個人的には、最高位である「クラス3」に到達した段階で、もうRPAはAIに取り込まれ、RPAという単語も耳にしなくなる可能性もあると思っています。

そうなるのは、10年後か、もしくは20年後でしょうか!?

 

2020年、RPA導入は時期尚早か?

結論から言えば、今の段階で導入をお勧めします。

理由としては、RPAに限らず、IT関係の商材はほとんどが、使いこなす迄に時間が掛かります。

洗濯機や冷蔵庫のように、買ってきたその日から誰でもすぐに使える代物ではありません。

どうしても一定の勉強時間や慣れの時間が必要となります。

RPAが「クラス2」になったとしても、多少融通が利くようになったり、サードパーティーのサービスとの連携度が向上する程度の話で、難易度が極端に下がるとは思えません。

そういった意味でも、事務処理などの自動化を考えているのであれば、早いに越したことは無いといえるでしょう。

 

RPA導入の理想的な導入タイミングは、「費用」と「人員」に余裕がある時です。

まあ、「費用」は導入ツールの選択や、スタッフの教育方法によって、安く抑えることができます。

「人員」に関しては、時期に関わらず、一定期間はRPA専任で勉強・ロボット作成して頂く必要がありますね。

 

とはいえ、今回の武漢ウイルスが引き起こした危機的状況で、「より少ない人数で会社を回さなくてはいけなくなった」といった切羽詰まった理由から、RPAの導入を検討している企業もあるでしょう。

「必要は発明の母」ということで、それはそれで導入のベストタイミングなのかもしれません。