RPAの市場規模と今後の予測

■<RPA市場規模予測>引用元:ITR Market ViewRPA市場規模

 

まだ目新しい技術のせいか、「RPA市場規模」で検索すると、かなり予測数字にバラツキがあります。

とはいえ、どの予測結果においても、年率30~50%での成長が見込まれているようです。

上図によれば、日本において、「2018年 88億円」 ⇒ 「2022年 400億円」ということで、5年程度で約5倍の成長が見込まれているようですね。

 

一方、世界のRPA市場は年率30%以上のペースで成長しており、2025年までに39億ドル(約4,300億円)にまで拡大していくことが予測されています。

この39億ドル(約4300億円)という数字は、主にRPAソフトウエアの出荷額を示した数字であり、RPAツールの導入支援やトレーニング教材の開発など、隣接分野も含めると、市場はさらに大きくなるでしょう。

また、コンサルティング会社で有名なマッキンゼー・アンド・カンパニーは、2025年までに全世界で1億人以上のホワイトカラー労働者もしくは1/3もの量の仕事がRPAシステムに置き換わってしまうと予測しています。

 

しかし、本当にそんなにRPAが使われているのでしょうか?

「私の周りでRPAなんて、見たこともなければ、話にすら出てこないんですけど?」という方もいらっしゃるでしょう。

実際、日本においてRPAの導入は、会社規模の大きなところから順次導入が進んでいるという現状です。

組織の規模が関係する理由としては、①RPAソフトの単価が高いこと ②RPAで自動化できる仕事量が多いこと(自動化による恩恵が大きい)

この2つが主な理由でしょう。

 

例えば、ここ数か月ニュースでよく目にするのは、日本中の地方自治体での導入実験の記事です。

茨城県つくば市では、市民窓口課で行われる住民票の転入・転出変更手続きの中で、本人確認書類を持参しなかった届出者に対して、本人の意思による届出かを確認する目的で「住民異動届受理通知」を郵送する作業が年間で1,700件ほど発生しています。

従来は、この作業を行うのに職員が85時間を費やしていましたが、RPAの導入により自動化することで、職員の作業時間が85%(71時間分)軽減された事例が報告されています。

 

このように私達の周りで確実にRPAは浸透し始めています。

今のRPAは「クラス1(PC上の反復作業の自動化レベル)」ということもあり、10人で行っていたものを、3人で行えるようになった!ということになる場合が多いです。

それでも導入には十分な理由になると思いますし、人間に比べて作業の精度も高くなることが多いですから、RPAの知名度が高まるにつれ、導入を検討しはじめる中小企業も増えるでしょう。

そして、10人の仕事を3人で行うようになり、さらにRPAが「クラス2」に進化すれば、人間1人で行えるようになるのでしょう。

 

■RPA市場拡大がもたらす新しい職種

最後に、「RPAソフト作成以外の市場は?」というと、これも拡大の傾向を見せています。

RPA先進国であるアメリカでも、RPAの普及は、既存のホワイトカラー人材にとって、失職や賃金ダウンの要因になることも懸念されています。

その一方で、RPA関連の新たな職種も生み出され、需要も大きくなっています。

クライアントの業務自動化システムを開発する「RPAデベロッパー(開発者)」の仕事は、経験が少なくても、年収1000万円を超えているというデータがあります。

ただ、求められているハードルも高く、RPAツールが使えれば良いというだけでなく、社内でどの業務が自動化に適しているのか、自動化で軽減できる作業時間の算定、自動化プロセスの設計、社員に対するRPA運用のトレーニングなどを併せて行えるだけのスキルが問われているそうです。

これはRPAツールがクラス1から「クラス2(曖昧な判断の伴う反復作業の自動化)」と、ステップアップするにつれて、より高度な知識が求められ、それに伴い市場も拡大しそうですね。