RPA関連で今、最もホットな話題の1つといえば、「AI-OCR」+「RPA」でしょう。
日本は特に紙媒体での社内・社外のやり取りが多い傾向がありますからね。
役所に行けば「この書類に・・・」、銀行に行けば「この申込書に・・・」、病院に行けば「この問診票に・・・」といった具合に、何かに書かせるということが多いのは否定できません。
書かせる方は書かせる方で、紙媒体というのは、保管するにも場所をとります。
しかも、一回しまうとすぐに引っ張り出せなかったりもします。
という訳で、本来、できる限り紙媒体を無くすオペレーションが好ましいのは、確かでしょう。
さて、本題に。
そんな需要があるにも関わらず、現場ではAI-OCRの導入が思ったほどスムーズに進んでいないと言います。
その理由を「採用側(法人)」と「提案側(ベンダー)」の両面から探っていきましょう。
■読取精度が低いから
<採用側から見た「AI-OCR」が受け入れられない理由>
OCRの世界では、「識字率」と呼んだりします。
10,000文字あれば、そのうち何文字をミスなく読み取れたか?
この識字率が非常に重視されやすいのです。
AI-OCRの採用を検討している多くの法人では、現状として「キーパンチャー」と呼ばれるスタッフを抱えているものです。
なので、比較対象は、その人達と比べてどうか?という話に収斂していくことになります。
ベテランのキーパンチャーになれば、10,000文字打ち込んで、最終的な打ち間違いは1%未満です。
一方、AI-OCRでは、現状、数パーセント程度が一般的です。
結果、「それほどミスがあると、その修正に手間掛かるから、まだ採用は時期尚早かな。人間レベルになったら、また連絡して」と見送られるケースが多いそうです。
<提案側から見た「AI-OCR」が受け入れられない理由>
お客様側が言う「識字率が低いから、まだ採用しない」という言い分。
これに対して、ベンダー側からの言い分もあります。
まず、大前提として「将来的にも識字率が100%になることは、まず無いです。それは幻想であり、希望的観測です。」と。
100%になってから採用というのであれば、恐らくその時期は来ないか、人間の識字率を超えるにしても、かなり先になるでしょう。
今、担当者の方に考えて頂きたいのは、
「AI-OCRの導入目的は、今働いているキーパンチャーの人達をゼロにしましょうということではなく、作業効率を上げましょうということです。」
とのこと。
ベテランのキーパンチャーさんが速くても、AI-OCRの方がテキスト化するのは、速いものです。
「でも、間違いが多いのでしょ?」と言われると思いますが、人間が打ち込むのを主とするのではなく、チェックするのを主として仕事をした場合、トータル時間では、恐らく後者の方が断然速い結果になります。
結果として、今10人のキーパンチャーさんがいるのであれば、半分くらいに減らせるでしょう。
そうしているうちに、AI-OCRの識字率も時間の経過とともに上がってきます(機械学習)から、更に打ち込み作業にかかる人数を減らせるでしょう。
「AI-OCR」。
仮にも「AI」と名前に付いています。
この「AI」に対しても多くの人が誤認しているのですが、
現状のAIは人から仕事を「奪う」ものではなく、人の「補助」をするもの
なのですね。
車の自動運転技術もそうですが、まだまだ100%人の代わりとはいかないのが、現在のテクノロジーなのです。