RPAの代表的な作業といえば、真っ先に「転記」が挙げられると思います。
「転記」とは・・・記された事柄を他の帳簿などに書き写すこと。(weblio辞書より)
「転記」という機能だけでいえば、Excelでも可能です。
「シートA」から「シートB」へ、文字や数字を転記する。
でも、RPAが重宝されるのは、同じ「転記」であっても、
『アプリケーションをまたいで、転記できる』
ということです。
エクセルシートにある情報を、ブラウザで表示されているSalesforceなどに自動で書き込めるという訳です。
もちろん、単純にそのままコピー&ペーストするだけでは芸がありません。
例えば、RPAのロボットに、
①本日の日付で
②数量が「100個」を超えているもので
③売上の小計が「100,000円」を超えているもの
という条件を満たしたものの「商品名」だけをピックアップして、台帳へ記入させるといったことも可能です。
<転記の事例(その1)>
「売上管理」については、ソフトA。
「営業管理」については、ソフトB。
「受発注」については、ソフトC。
こういった具合に、社内にあるデータベースが統一されていないケースは多いと思います。
アプリケーションによっては、独自の拡張子にしか対応していないというものもあります。
マネージメント・マーケティングにおいて、「データは王様」と言われることがあるように、使い方次第で大きな武器になります。
そのためには、売上に関わるデータなどは、社内で一貫性のあるものにしておくべきですが、システムが異なることにより、データのやり取りができない場合があります。
そこである法人では、それを実現するため、システムの変更の見積もりをベンダーにお願いしたのですが、目が飛び出るほどの見積書が届きました。
素人考えで、今あるシステムにちょっと手を加えれば出来るものだと考えていたのですが、そう簡単なものではないとのことでした。
とはいえ、システム更改として他システムに総入れ替えするには、まだまだ減価償却が終わっておらず、社内稟議も下りない状態で、対策に苦慮していました。
そんな状況で見つけたのが、「RPA」です。
RPAの価格も安くはないものでしたが、システム更改に比べれば十分社内での理解が得られる金額でした。
その結果、日々新しく更新されるデータAを、システムBに自動入力させることに成功しました。
手作業に比べれば格段に速いものの、件数が多い時はそれなりに時間は掛かります。
しかし、タイマースケジュールにて作業を走らせることができるので、毎日朝5時からスタートさせ、始業時間である朝9時には完了させることが出来ています。
RPAのライセンスが年間契約なので、とりあえず次のシステム更改である3年後までは、このままRPAを更新契約して利用し続けるつもりとのことでした。
<転記の事例(その2)>
某百貨店の繁忙期といえば、お中元・お歳暮の時期です。
住所や名前、商品番号などが書かれた用紙をデータベースに打ち込んでいく作業に追われ、いつもアルバイトを増員して対応しています。
とにかく、件数が多いことと、時期的に集中するので、遅くまでみんなで残って対応するのが恒例行事になっていました。
そこで担当者が見つけたのが、「RPA」です。
お客様が手書きされる用紙を機械的に読み取れないものか?
そして、読み取ったものを申込みのデータベースに自動入力できないものか?と。
結果、「RPA」だけでなく、「AI-OCR」という最新の光学読取装置とソフトウェアを用意し、対応することができました。
もちろん、すべての申込用紙がすんなり読み込めるものではないため、目視のスキームも入れて処理しましたが、トータルで3分の1以下の時間で済むようになったのです。
Attention!・・・「AI-OCR」については、サービスが乱立しており、金額や機能、精度もバラバラですので、予算と用途にあったものを選別する必要があります。