RPAはその価格が安くないこともあってか、実際の導入は大企業から普及が進んでいます。
しかし、アンテナの高い中小企業においても、導入を検討しているところは多く、RPAの説明会などは結構早い段階で満席になることも少ない無いという状況です。
では、実際に導入は進んでいるのか?というと、問い合わせはしたものの…、説明会には参加したものの…、といった感じで実際に導入まで進まない中小企業も多いのは確かです。
RPAの操作、ロボットの作り方が当初思っていたよりも障壁が高いと感じ、導入を諦めるケースも多いです。
その一方で、社内からの賛同を得られずに、導入を躊躇しているというケースも多いのは興味深いところです。
ここは中小企業において、重要なポイントにもなるので、詳しくみていきましょう。
中小企業におけるPRA導入検討時のありがちなケース
RPAがちょっとしたブームになっており、IT業界ではなくてもアンテナの高い経営者であれば、「その単語、聞いたことがある」というステージに入ってきました。
そんな風に算盤をはじく経営者も多いでしょう。
そこで、部長なり課長なりに、RPA導入検討の指示が飛ぶ訳で、現場の人から意見を集めることになります。
さて、問題はここから。
現場では、スタッフの態度が二極化しやすいです。
①すぐにでも導入して欲しい。自分は忙しいので、もっと他のことに時間を使いたい!
②導入しないで欲しい。この仕事がなくなると、社内において自分の居場所がなくなるので。
つまり、「導入賛成派」と「導入反対派」が生まれるのです。
日本においては、RPAを導入後も解雇という選択肢をとることは少なく、往々にして配置転換を行う会社が多いです。
中小企業においてもそうでしょう。
そう考えると、上記②は的外れな考えと言えます。
でも、「●●さん、安心してください。●●さんには今後■■の仕事をやってもらいたいので。」と言われて喜んでくれる人と、そうでは無い人がいます。
後者はどういった人なのでしょうか?
別に特別な人という訳ではありません。
単純に、
・毎日、この仕事をして時間が過ぎれば給料がもらえることに満足していたのに。
・今から新しい仕事/作業を覚えなくてはいけないのは、面倒くさい。
と考えているのです。
ちょっとオーバーに言えば、
「自分は1時間いくらで雇われているので、業務の効率化とか正直どうでもいいんです。あまり新しいことを勉強したいという好奇心や向上心もないので、今のままが一番居心地がいいんですけど。(なので、変わったことをするのはやめて貰えませんか?)」
特に年齢が上がればあがるほど、何かをゼロから勉強するということに抵抗を示す人の割合が増えてい来るのは、仕方がないでしょう。
その結果、部長や課長から「うちの部署でもRPAで自動化できる作業ってあるかな?」と聞いてもらっても、上記のような人だと、「いやぁ、うちの部署がやっている作業はちょっと特殊ですから、無理だと思いますよ。」といった答えが返ってくることになります。
そして、部長や課長は報告で社長に、「一応、RPAの業者の人に来てもらって説明して貰ったのですが、どうやらうちの作業だと自動化するのは難しいみたいです。また、その自動化プログラムを作るのも、素人では出来ないみたいですし。ちょっと時期尚早という感じですね。」
こうして、RPA導入の話が立ち消えている会社は少なくありません。
そういえば、1800年代のイギリス産業革命期においても、機械打ちこわし運動が起こったそうです。
手工業者たちが生活苦や失業の原因を「技術革新」と「機械導入」によるものだ!とした訳です。
いつの時代でも新しいものを導入しようとすると、必ずといっていいほど個々人の理由から一定数の反対にあうのは避けられません。
スタッフの意見に耳を傾けるのはとても大事なことですが、ビジネスでは破壊と創造を繰り返せない会社は、競争社会から取り残されていきます。
経営者を含むマネジメント層の人達は、会社というスタッフみんなの居場所を守るためにも、俯瞰的に状況を見ていかなくてはいけない責務があります。
では、中小企業において、RPAをどうすればスムーズに導入できるのでしょうか?
次回に続きます。