RPAを使って自動化!と息巻いたものの、どこをどう自動化すれば良いのか分からないというケースは多いものです。
こちらとしても、「この業務、自動化できる?」と聞かれれば、実際の画面を見た上での話になりますが、お答えし易いです。
逆に「提案してくれ!」と言われると、結構難しいことが多いのは確かです。
なぜなら、みなさんの現場事情はそれぞれだからです。
世の中には、業務内容を測定し、RPA化を提案するソフトウェアも開発されているそうですが、個人的に思うには、現場の人に「単調で面倒くさいと思っている作業ありませんか?」と聞いてまわって、ピックアップした方が良い気がします。
ロボット開発のフロー
さて、「ロボット開発」のプロセスですが、最初のステップとして、
①対象業務のリスト化
RPAに携わっていない方だと、RPAで何をどこまで自動化できるのか、正確には見当がつかないはずです。
それで構いません。
単純にスタッフの人達が「PC上で手を動かして繰り返し作業をしているもの」をリスト化して貰えれば良いです。
実際の現場では、ピックアップして頂いた一連の作業すべてを自動化できなくても、部分的にRPAにて自動化するだけでも、大幅な時間短縮orミス撲滅に繋がる個所があったりします。
ですので、この段階では気兼ねなく、リストに追加してください。
②自動化の業務と範囲を選定
なんでもかんでもRPAにて自動化すればよいのか?というとそういう訳でもありません。
自動化にもデメリットがあります。
・ロボット作成の手間と時間
・作成後のロボット管理
・自動化した作業のドキュメント化(そのままにしておくとブラックボックス化してしまう)
・ロボットトラブル時の特別対応フローの策定
上記のようなことを踏まえて、
・自動化するに値する「業務量」はあるのか?
・ロボットを作ったとして、その「利用頻度」はどのくらい?
・ロボットを作ったとして、その「利用人数」は?
などを勘案し、自動化の優先順位を決めたいところです。
③ロボット作成の準備(フロー作成)
ここでは、ロボットを完成させるうえでの、フロー(流れ)を紙面に起こしていきます。
実際に作業される画面を見ながら、選択欄や入力欄、エラー発生時の挙動、最終形態(ex.エクセルファイルにまとめ、本日の日付を入れる)を具体的に落とし込みます。
大変重要な個所なので、毎日実際にそのPCを動かしている人に聞きながら、例外的処理も含めたフローを作成する必要があります。
もしここで聞き落としがあると、間違った処理がされることになります。(それはロボットが悪いのではなく、ヒューマンエラーですね)
④ロボット作成の準備(エラー対応)
上記③の中では、スムーズに流れる場合のフローを紙面に起こしました。
今度は、本流ではない操作をした場合のフローを追記していきます。
例えば、「処理したいテキストファイルを選んでください」という表示をしているとします。
通常であれば、ファイルを選択して「YES」ボタンor「OK」ボタンを押す流れです。
しかし、突然気が変わって「キャンセル」or「NO」ボタンを押す可能性もあり得ます。
または、テキストファイル以外のファイルを選択するかもしれません。
そういったことを想定しながら、ロボットが緊急停止しないように、フローに盛り込んだり、ファイルの拡張子にて制限をかけたりします。
⑤ロボット作成の計画策定
自分ひとりでロボットを作成し、利用するのであれば、この作業は必要ないかもしれません。
しかし、他者から依頼を受けて行う場合や、自分の部署移動や退職の可能性があるのであれば、残しておくべきでしょう。
・自動化の概要
・自動化の詳細(流れ)
・ロボットが動かなくなった緊急時の対応
・ロボット作成時のRPAソフトやOSのバージョン
⑥ロボット開発
ロボット作成は、いきなり完成形を目指しません。
多くの場合、モジュール単位で作成してはテストを繰り返して、少しずつ進めていきます。
※モジュールとは ⇒ ハードウェアやソフトウェアを構成する個々の部品のこと。
ソフトウェアのモジュールの場合、プログラム全体を構成する機能ごとのひとまとまりのことを指し、プログラムモジュールとも呼ぶ。(コトバンクより)
⑦運用テスト
最初から最後までフローが完成した後も、ダミーのファイルなどを用意して、試験運用します。
そこではエラー時の処理も適切になされるのかを確認すべく、通常入力されないような数字を入れたり、空欄にしてみたりと様々なケースを試します。
⑧運用開始
一応、上記⑦終了の段階で、ロボット開発は終わりとなりますが、③の段階でも書かせて頂いた通り、聞き取りミスによるヒューマンエラーの可能性はあり得ます。
ですので、運用開始後、しばらくの期間、「いきなり停止しないか?」「処理された内容は問題ないか?」ということをチェックするスキームを入れたいところです。
つまり、「タイマースケジュール」や「トリガー」ではなく、手動にてロボットをスタートさせ、結果を目視するということです。
以上となりますが、人や会社によっては、他の工程が追加される場合もありますので、ご参考までに。