システムを導入すると、必ず考えなくてはいけないのが、そう「保守」です。

新幹線だろうが、高層ビルだろうが、プログラミングだろうが、保守は大事なのです。

保守を怠ることで引き起こされるのは、事故だったり、資産価値の激減だったりと、その手の話には枚挙に暇がありません。

 

特にシステム関係の話でいえば、一度導入して無くてはならないものになると、それが止まるというのは、業務にとても大きな影響を与えます。

社内に「情報システム部」を設けている企業も増えてきました。

でも、多くの企業において、情シスには権限と資金が少ないという話も聞きます。

それでいて、何かシステムトラブルがあると、とても責められるという。。。

利用者としては、別に特別なことをして欲しいという訳ではなく、いつも通り動いていればそれいいのに、「管理しているあいつら、何やっているんだ!?」と考えてしまいがちなのです。

実際には縁の下の力持ちであり、メンテナンスには手間もお金も掛かるものなのです。

RPAにおいて、運用保守はどうなの?

話をRPAに。

RPAにおいて、ロボットの作成のみを外注して、運用保守は自分たちでやっている企業は無いのか?というと、もちろんそんなことはありません。

少しずつですが、そういったご依頼自体の相談も頂いております。

では、一般の企業において、RPAの保守運用が可能なケースと、そうではないケースを語ってみたいと思います。

 

RPAの話に限ってお話すれば、大前提として「RPAは止まりやすい」ということは言えます。

それは、RPAツールが不完全であるから!という訳ではなく、RPAツールは例えるなら「指揮者」であり、「現場監督」なのです。

単純に限られた命令を出して、多くのアプリケーションを動かしているという仕組みなのです。

そのため、多くのアプリケーションを自動化しようとすればするほど、事故の可能性が上がってくるのです。

厄介なのは、そのアプリケーション自体は、RPAツールの会社とは何の関係も無い場合が多いことです。

つまり、RPAツールとしては、そのアプリケーションの細かい部分は、分かっていないし、一定以上干渉できないのです。

一般の自動化というのは、そのアプリケーションの中だけで実行されるものであるため、すべて自己責任として対処できるのですが、RPAツールにおいては、勝手が違うのですね。

という訳で、アプリケーション側のバージョンアップや機能追加の影響を大きく受けて、あるべきところに項目やボタンがなくなり、ロボットが止まるということは、珍しい話ではないのです。

RPAの運用保守を行うにあたり、必要なものとは?

そういう訳で、自分たちで保守運用を行うためには、

『RPAツールをある程度、自分たちで使えること』

が必要となってきます。

 

では、その「ある程度」とは、具体的には?

①どこで止まったのか?
②なぜ止まったのか?

が最低限分かる必要があります。

 

もちろん、これにも大前提があります。

『動いていたロボットは、通常業務において、ちゃんと動く仕様になっていた』

ということを担保しておく必要があります。

何を言っているのかというと、通常、Aという値が「1~9」まで出力される仕様になっていたとします。

そして、本番用のコンピュータにて、ちゃんと「1~9」まで全て正確に動いていた!という確認が取れているという前提です。

「9」なんて、めったにないからということで、テストをせずに本番稼働していたとか、それどころか時折「10」という値も出る可能性があることを失念していて、開発業者に知らせてなかったとか。

そうなると、ロボット全体の設計の見直しが必要になってくるので、自分たちでなんとかするというのは、とてもハードルが高くなってくるでしょう。

 

話を戻し、大前提はクリアされていると仮定した場合。

大抵の場合、RPAツール(ロボット)が止まった箇所、もしくはその近辺に問題がある可能性が高いです。

ログや変数の変遷をチェックすることで、原因を究明していきます。

アプリケーション側になんらかの仕様変更があったのか?

RPAツールにおいて、画像認識が上手くいっていないのか?

ネットワークやパソコンの処理速度などの一時的な問題なのか?

読み込ませたファイル側になんらかの変更があったのではないか?

そういった可能性を1つ1つ潰していくという作業です。

これ自体はさほどハードルの高い作業ではないので、それなりにRPAツールを使いこなせて、業務の内容が分かっていれば、自分たちで対応できると思います。

ただ、自分たちで行うリスクとしては、

・担当者の負荷となる。(本業の傍ら、臨時で対応することなる)

・担当者が異動や退職でいなくなると、誰も内容が分からなくなる。(場合によっては、休暇を取っている時に限って、トラブルが…)

・トラブル時、場合によっては復旧まで時間が掛かる。(トラブル対応は、経験値がものを言う世界です。本業でない人が行えば、時間が掛かるのも無理はありません)

といったことが一般的だと思います。

ちゃんと動いている時は誰も気にしませんが、突然止まると業務に支障が出てくるというのは、エクセルのマクロと同じです。

RPAが止まっても、手動でなんとかなる体制になっていればまだ良いですが、業務自体がブラックボックス化していると、大変な事態を引き起こします。

慌てて修繕を外注しようとしても、業務内容(手作業の手順)が分からないと、システム業者も対応は出来ませんので、そういった全体像も考えてRPAは導入すべきなのです。