『独学でのロボット作成は難しいのか?』

 

「RPAは、プログラミングよりも簡単!」というのは事実です。

であれば、独学でRPA導入/運用も簡単にできるのでは!?と考えても、不思議ではありませんよね。

実際、RPAツールメーカーもそう謳っているし!

 

では、実際どうなのでしょうか?

 

私が某自動車メーカーで、RPAエンジニアとして働いていた時の話を致します。

そこでは、「外部のRPA専門部隊だけでなく、自分達でもRPAでロボットを作ろう」というプロジェクトがありました。

有名大学出身の人が多く、元々地頭の良い人達の集まりですから、結構簡単にできるのでは!?と私も思っていました。

しかし、結果から言えば、自分達だけでロボット作成に成功したものは、ゼロでしたね。

 

なぜ、上手くいかないのか?

一応、市販の作成動画を見て、マニュアルを読みながらのトライだったようですが、実務に耐えるレベルのロボットは、独力では作れていませんでした。

最終的に、プロである我々から基本となるひな形の提供や、作成中の相談、作成後のロボットチェックが相当時間あって、ようやく完成に漕ぎつけていました。

 

これは私も経験しているのですが、まず世の中全般の話として、RPAの勉強資料が充実していないということ。

一応、メーカーも無料で提供していたりしますが、見て頂くと分かる通り、『学習動画のレベルが低い』のです。

低いというと語弊があるかもしれませんが、とにかく分かりずらいのです。

動画内容が実践に即していないものが多すぎるとも感じますね。

メーカーとしては、「こんなこともできるんです!」ということをアピールしたいのかもしれませんが、初期の段階でそれを知ってどうする!?という機能紹介が多すぎるのです。

もう少し順序だてて説明して欲しいと多くの人が思うでしょう。

 

もう1つ。

私が思うに、RPAはいきなりツールの操作方法・作成方法だけ教えようとしても、上手くいきません。

プログラミングの基礎の部分をもっと加味する必要もあれば、考え方の「定石」と言える手法も併せて教えておくべきでしょう。

そういったカリキュラムでないと、いざ視聴者や受講生が自分で作りたいロボットに着手しても、始めて早々にパソコンの前で固まってしまうのがオチです。

 

ただ動くロボットではダメなのか?

数週間の時間を掛けて、とりあえず動くロボットを作成できた人もいました。

それではダメなのか?と言われると、ダメなのです。

個人利用ならまだしも、社内で使うとなると、第三者にも全体像が分かり、今後のメンテナンスも考慮しておかなくてはいけません。

具体的には、変数名の付け方であったり、サブルーチンの分け方であったり、コメントの入れ方であったりといったルールが必要です。

そのうえで、出来る限り止まらない&暴走しないように、「例外処理(※1)」への対応もしておかなくはいけません。

※1・・・「例外処理」とは、プログラムの実行の継続を妨げる異常な事象(「 例外」と呼ばれる)が発生した際に、その内容に応じて実行される処理のこと。

 

このような設計思想の元、ロボットを作っておかないと、作成した人が異動や退職してしまうと、もう誰もトラブル時に対応が出来ない、もしくは修正にとても時間とお金が掛かることになってしまいます。

そうはいっても、エンジニア出身でもなければ、上記のようなことを独学で出来る人って、まずいません。

これは地頭の良し悪しではなく、単純に知っているかどうか?という話ではありますが、本業の傍ら、独学でそういった専門的な情報を収集し対応するというのは、多くの人にとってハードルが高すぎると思います。