そもそも論ですが、RPAは何のために導入するのでしょうか?
答えは、単調なPC上の作業を機械に代行してもらい、担当者の負担を軽減し、業務の効率化を図るために!です。
ということは、忙しい会社ほどRPA導入に前向きのはずです。
しかし、現実は異なるケースが少なくありません。
なぜでしょうか?
人間、忙しすぎると頭を使わなくなる
私も過去に経験があります。
10年ほど前の雇われていた頃の話になりますが、朝9時の始業から、夜の9時頃までずっとお客様対応でデスクに張り付いていました。
仕事が終わった頃には、いつも右腕から首までがカチコチになり、腕が上がらなくなったものです。
昼飯も12時や1時にお昼に食べれることは少なく、2時くらいになってようやく近所のなか卯などで持ち帰りにして、会社のデスクでパソコン作業をしながら食事をするというのは、珍しくありませんでした。
とにかくお客様からのお申込みをさばくのに一生懸命で、社内の業務改善を考えるということに頭が回らなくなっていました。
今思えば、こうすればもっと効率化できたのに・・・というアイデアが出てくるのですが、当時はそういったことを考える気力が不思議とわいてこなかったですね。
とにかく、週末まで倒れ込むように働いて、また月曜日を迎える。。そんな繰り返しでした。
誰がRPA導入を決め、主導すべきなのか?
結論から言えば、部長などの社内業務の改善が責務であるポジションの人が行うべきでしょう。
実際に誰がRPAツールを使い、管理するのかは別にしても、役職にある人が主導し、ライセンス購入や教育費、または外注費といった予算付けを行うべきだと考えます。
7robotsでは過去に「RPA導入の手引き」といった小冊子をお配りしていました。
結果、それなりの人数からご応募がありました。
その後、ご応募頂いた方に社内のRPA導入進捗状況などを数か月にわたり、お電話にて追わせて頂きましたが、やはり役職の無い方が主導or応募されたケースでは、半年たっても1年経っても本格的な導入はされていませんでした。
ちなみに、数年前はRPAツールも安い買い物ではなかったので、決断するにも時間が掛かるものでした。
しかし、今ではPower Automate Desktopのような無料RPAツールが使える時代ですから、とても敷居が低くなっています。
とはいえ、上記の状況は、2021年になった今でも変わらずです。
社内においてボトムアップによるRPA導入は、上手くいかない
RPAを社内導入しようと思ったら、「お金」か「時間」が必須となります。
少なくとも、外注であれば「(それなりの)お金」が必要になり、内製化であれば「(学び・作成するための)時間」が最低限必要になるのです。
つまり、この社内調整が出来る人がRPAに関心を持っているかどうか?が分かれ道になっています。
よくRPAニュースに出てくるような、「年間1000時間削減」といった効率化を達成しようと思うと、どうしても社内の有志によるプロジェクトではなく、会社からのバックアップが必要になりますね。
RPA導入が進まない企業にありがちな状況
これも私の実体験に基づきますが、最初は、「自分の作業を効率化したい!社内のプロセス全体を良くしたい!」と考えるのです。
そして、上司にその旨と具体的な方策を進言するのです。
しかし、否定的な返事が返ってきたり、何日経っても具体的な返事が返ってこない場合には、こちらも諦めてしまうのです。
だって、自分も目の前の仕事に忙しいのだから!
そして、こうも考え始めるのです。
「自分は一体誰の為に、この会社を良くしようと思っているのだろうか?まぁ、自分もずっとこの仕事をする訳でもないし、いつまでこの職場にいるか分からないし、そんなに必死になって改善する必要もないだろう。これ以上しつこく言って、「だったらお前が全部やれ!」と丸投げされても困るし」と。
こうして一事が万事、社内にストレスをまき散らす「作業」だけが、呪いのように何年たっても残っていくのです。
アメリカの逸話に、こんな話があります。
「10時間以内に切り倒さなくてはいけない大木がありました。
そこに2名の木こりがいました。
ダメな木こりは、錆びたのこぎりですぐに作業に入りましたが、時間内に切れませんでした。
一方、賢い木こりは、8時間をのこぎりの手入れに費やし、2時間で切り倒しました。」
これって、RPA導入にとても当てはまると思うのですが、いかがでしょうか!?