日本で最も売れているといわれるRPAソフト、それが「WinActor」です。
他のページでも書かせて頂きましたが、改めて最初にWinActorの説明を致します。
尚、以下の感想は、Ver.6でのお話となります。
今後、更なる機能追加や変更が行われると思います。
「WinActor」
■NTTアドバンステクノロジ社製
■価格
フル機能版 : 1台当たり90万8000円/年
実行版 : 1台当たり24万8000円/年
■RPAとしてのスタイル
パソコン1台につき、1ライセンス購入しインストールするデスクトップ型
WinDirectorという管理統制用のシステムを導入すればサーバによる管理が可能
ファイルの容量としては、240MB程度
■特徴
他RPAでは元が海外製で、日本語変換しているものがありますが、WinActorに関しては日本製です。
そのため、違和感を感じるほど日本語(漢字/カタカナ)表示となっています。(変数に日本語が使える)
RPA体験談
早速本題にはいります。
■WinActorでの作業
WinActorを使って、RPA定番の自動化である「交通費申請書」と「(WEB上の)路線検索から最安値を算出」し、照らし合わせて正誤を打ち込む作業のシナリオを作成しました。
これを今迄通り人の手で行うと、
①「申請書」のエクセルファイルを開く
↓
②WEBの路線サイトを開く
↓
③「申請書」に掛かれている「乗車駅」と「降車駅」を抽出する
↓
④路線検索に打ち込み、ボタンを押す
↓
⑤表示されている中から、最安値を抽出する
↓
長くなるので、途中割愛。
最終的には、「申請書ファイル」に掛かれた金額の横に○×を入力。
そして処理した「処理済み申請書ファイル」と名前を変えて、別フォルダに保存。
といった具合に、案外こまごまとした作業を行っているのですね。
逆に言えば、その作業をRPA上で再現しなくてはいけないので、結構ロボット(シナリオ)作成には知識が要求されるのです。
■WinActorを実際使ってみて
ほぼ全て日本語表記となっており、RPA未経験者でも取っつきやすいかもしれません。
プログラミングは、基本、英語をベースとしているものが多く、使われる単語はアルファベットが一般的なのです。
なので、設定項目や変数に日本語(カタカナではなく漢字)が並んでいる景色は、特にプログラミング経験者だと違和感を感じるかもしれません。
まあ、それはダメという訳ではなく、単なる好みと慣れの問題ではありますが。
そもそもWinActorの造りを見たところ、日本(日本人)での利用に特化したもので、世界進出は考えていないのでしょうね。
私が利用した際の画面レイアウトは、左列に自動化の部品(ノード)がズラリと並び、画面の大半は方眼用紙をイメージした作業場(ロボット作成場)となっていました。
ちなみに、WinActorでは、ロボットのことを「シナリオ」と言いますので、ロボット作成=シナリオ作成と理解してください。
話を戻し、自動化の部品一覧を見ると、品目はとても多く、多機能であることが分かりました。
他のRPAソフトでは無かった項目、例えば「エクセルファイルをRPAで簡単にソート」をかけたり出来たのは、「おぉー」という驚きでしたね。
WinActorでは、「ライブラリ」として、最初から入っているもの以外にも、各アプリ関連のアクションを簡単に登録できる仕組みになっているのです。
また、より便利なものをホームページからもダウンロードできる仕組みもあります。
まあ、他のRPAソフトでも工夫次第で結果として同じことは出来るのですが、部品として初めからある方が難しいことを考えなくても良いので楽なのです。
一部始終通してみて、ソフトウェア自体は、かなり安定していたように感じました。
メモリ4GBのノートパソコンでの利用でしたが、シナリオを再生すると、キビキビと動いている様はさすが日本製!と。
シナリオで使ったブラウザのChromeの立ち上がりスピードには不満がありましたけど(苦笑)
あと追記したいこととしては、「日本No.1シェア」というだけあって、他RPAソフトに比べて一般利用者数が多いことと、参加企業も多く、有料サポートを充実していますね。
■WinActorで気になった点
良いことばかり書いていると、客観性に欠けると思いますので、個人的な感想としてですが、気になった点を書かせて頂きます。
WinActorでは、処理の塊を「グループ」ということで、枠に入れていきます。
最初は「ビジュアル的にわかりやすい」と感じたのですが、少しシナリオの規模が大きくなるだけで、ある程度グループを畳んでも画面に収まりきらず、とても見づらいと感じました。
他のRPAソフトに比べての感触ですが、シナリオを上から下までパッ見て、何をどうしているシナリオなのか?を理解するのに、解説(コメント)がないと理解に時間がかかりますね。
また、シナリオの本流に入れずに、一旦側に配置してグループを作っていき、後から本流のシナリオに追加していくことがあるのですが、配置場所によっては、ゆっくりと画面上をドラッグして遡っていくような作業もまどろっこしい印象があり、1画面のモニターでは本当に作業がしづらかったです。
既に作ってある部品をコピーする時も、よく分からない場所に作られていたりと、初心者泣かせの個所もありました。
スピーディに操作するには、かなり慣れが必要であると感じさせられました。
あと、変数や数字や文字を入力欄に入れていくのですが、これも登録されているリストボックスの中から選ぶようになっています。
プログラミング未経験者の人にとっては親切な造りと感じるのかもしれません。
しかし、それなりの規模のシナリオにおいては、小さなリストボックスに同じような名前が並び、そこをロールダウン/ロールアップして適当なものを選ぶのですが、窓が小さすぎることやデフォルトでの並び方が追加順であることが私にとってはまどろっこしく、押し間違い/選び間違いが何度か起こったりと、イライラさせられるものでした。
これで慣れている人にとっては良いのでしょうが、他のRPAソフトを使ったことがある人やプログラマーの人だと、作業効率が悪いシステムだと感じるかもしれません。
最後にもう一つ言わせて頂ければ、日本語表示であるにも関わらず、エラー時に該当箇所/理由がすぐ判別しにくいのです。
(部品として)どの部分でエラーが起こっているというは分かるのですが、何が原因で、どこを直せばよいのか?というのが表示されないのです。
なので、中を開いてみて、ああでもないこうでもないと試行錯誤することになり、経験がものをいう世界になります。
折角の日本製なので、その部分も適切に表示される工夫が今後の課題ではないでしょうか。
と色々批判的なことも書かせて頂きましたが、なんだかんだ言っても日本のRPA市場においては、現時点で「WinActor」が業界標準といっても過言ではないでしょう。
まだまだRPAは黎明期であり、WinActorが現在の日本市場において頭一つ抜け出している感はありますが、盤石とは言えない状態です。
今後、RPAがセカンドステージに入り、RPA+●●という組み合わせがRPAソフト自体の付加価値を大きく上げる要素となる訳で、その時にどれだけ多くのサードパーティーを巻き込めるのか?が市場占有率を確定させるものとなるでしょうね。