マイクロソフトが「RPAの民主化」を目指して登場したRPAツール、「Power Automate Desktop(for Windows10)」。

RPAツールに詳しい人から見れば、そのコストパフォーマンスと性能は驚異的!といっても過言ではありません。

日本においても、RPAツールを提供している会社が多数ありますが、提供会社は戦々恐々としているものと推測します。

そんなPower Automate Desktopですが、「凄い凄い!」と言ってもどこが凄いのか?

今回、冷静かつ客観的に分析してみようと思います。

 

Power Automate Desktopのメリット(長所)

①コストが圧倒的

Power Automate Desktopには、有償版と無償版があります。

元々、有償版が2020年10月頃にリリースされていたのです。

その後、2021年3月に「無償版」として、「Power Automate Desktop for Windows10」がプレビュー版としてリリースされました。

無償版はともかく、有償版でも4,350円(税抜)であり、年間でも税込み6万円以下という破格です。

インストール型RPAツールの価格が、1ライセンスで平均数十万円~というRPA市場において、文字通り桁が違います。

 

②将来性がある

RPAツール単体でみた場合、価格以外に取り立ててPower Automate Desktopが特段優れている!というほどのものは、正直ありません。

良く言えば、その価格でありながら、他のツールと同じレベルにあるとも言えます。

しかし、将来性という意味では、頭1つ2つ抜きんでています。

RPAは、将来どうなるのか?というと、AIと強く結びつき、融合していきます。

これは私の個人的な意見ではなく、RPAの定義の中で、CLASS2,CLASS3という機能面の区分分けがされているのです。

恐らく、CLASS3に到達した段階で、もう「RPA」という単語は会話に出てこなくなり、AIの一機能として認識されるようになるのではないでしょうか。

まあ、早くてもあと10年は掛かると思いますが。

 

それはさておき。

AIとの結びつきという意味で言えば、Power Automate Desktopは、マイクロソフトが数多く提供している中のいちサービスです。

他社であれば、これからAIのチームを立ち上げて…という話になりますが、マイクロソフトの場合は、既に稼働中のAIの機能を持つ他サービスと連携をさせるだけなので、その開発速度は段違いです。

海外の有名なIT分野の調査会社からも、RPA業界の「リーダー」と位置づけられました。

そもそも、Power Automate Desktopの前身となる「WinAutomation」を買収したのは、ユーザーの囲い込みの為で、元々Power Automate Desktop単品で儲けようとは考えていませんね。

 

Power Automate Desktopのデメリット(短所)

①クラウドサービスである

なぜ、クラウドサービスであることが、デメリットなのでしょうか?

もちろん、作成したロボットがデータセンターに保存されるといった安全性のメリットもあります。

しかし、逆の視点で見た場合、インターネットに繋がっていないと、Power Automate Desktop上でロボットを動かせないということになります。

たとえマイクロソフトと言えども、1年365日のうち数時間単位でサーバーが止まったりする可能性は低くありません。

運が悪ければ、繁忙期の止まって欲しくないタイミングでサーバーダウンの可能性もあるということです。

それを考慮して使わなくてはいけないことは覚悟しておきましょう。

 

②問い合わせ窓口が混雑している

小さな会社であれば、電話の窓口があり、その日の内に解決してくれるでしょう。

しかし、マイクロソフトの場合、サポートの窓口は多岐にわたり、正式回答が返ってくるまでに数日を要するのが一般的です。

こちらがとても急いでいても、担当者がアサインされるのにも時間が掛かりますから、窓口でせかすこともできません。

もし、緊急時や個別案件にも対応して欲しい場合には、別途プロフェショナル契約が必要で、1質問数万円~といった出費を伴います。

 

③操作方法などの情報が、まだ少ない

Power Automate Desktopが登場してまだ間もないこともあり、書籍はもちろん、インターネット上にも情報が少ないのです。

情報が少ないということは、トラブル時はもちろん、学習する上でも自己解決のハードルが高いということです。

 

④造りがシンプルで、アクションの数が(比較的)少ない

NTTのRPAツールである「WinActor」などを使っていた人が、Power Automate Desktopを使うと、そのシンプルさに驚くかもしれません。

WinActorで言う「ノード・ライブラリ」の数が少ないのです。

つまり、少ないアクションを工夫して使わなくてはいけないことや、場合によってはExcelの機能(関数やマクロ)を使わざるを得ない場面も出てくるかもしれません。

 

<総括>

いかがでしょうか。

公平に評価して、流石に総評で「5ツ星!」とはいきませんね。

しかし、「今からRPAツールを勉強したい!」とか「今から社内にRPAツールを導入したい!」と考えているのであれば、個人的に言って「Power Automate Desktop」一択!になります。

Power Automate Desktopには無い機能だが、他のRPAツールにはあり、それが無いと上手く自動化できない!というのであれば、話は別です。

確かに業種や規模によっては、そんな機能もあり得るかと思います。

でも、一般的な中小企業であれば、なかなかそんなケースは無いと思います。

他のRPAツールで実現できるなら、Power Automate Desktopでも再現できるでしょう。(そもそもRPAツールで再現できないという作業は除きます。)

という訳で、RPA市場に鳴り物入りで登場したPower Automate Desktopですが、まだ市場には使える人も少ない状況です。

いずれExcelのマクロ(VBA)くらいの普及率にはなると思いますが、もう数年かかりそうですね。

逆に言えば、早めに習得しておけばおくほど、希少価値があると言えます。

まもなく、Windows10のパソコンを使って人は、Power Automate Desktopの名前をパソコンの「アクセサリ」の中に見つけるようになるでしょう。

その時、あなたがPower Automate Desktopを使うことが出来れば、あなたの評価アップに繋がると思います。

会社としては、Power Automate Desktopを選択することで、ほぼリスクと出費なしでRPAで業務の自動化をすることが出来るのですから!