弊社では、RPAロボットの作成依頼を頂く際には、基本的に「保守サービス」もお勧めしています。

これは、正直に申し上げて、金銭的に云々という理由でお勧めしている訳ではありません。

仮に、私がRPAエンジニアではないとして、親友から「(他社に)RPAロボット作成を外注しようと思うんだけど、保守も申し込んだ方がいいのかな? 必要ない?」と聞かれたとします。

その場合、私はどのように答えるでしょうか?

RPA導入による「保守」の必要性とは?

恐らく、まずは質問すると思います。

①社内にそのRPAツールをある程度使える人はいるの?

もし、「いない」と答えた場合、即答で「(保守に)入った方がいい」と答えると思います。

「いる」と答えた場合、

②どの程度、「使える」人なの?

ここも結構大事なポイントです。

なので、その「使える」本人にズバリ聞いてみてください。

「他人が作ったロボットが突然止まった場合、直せそう?」と。

もし、「自信ないです。」と答えた場合、やはり保守サービスには入った方が良いでしょう。

結局のところ、「保守なし」で問題ないと言えるのは、「自分で作ろうと思えば作れるけれど、時間が無い」という人が社内にいるケースだけだと思って頂いて構いません。

ロボットを修正しようとすると、「問題が起こっている箇所・原因を見つけるスキル」、「正しく動くように修正するスキル」が必要になってきます。

つまり、修正するにもそれなりにRPAツールを使いこなせるレベルであることが求められるのです。

そんなにRPAは問題が起こるものなのか?防ぐ方法はないのか?

恐らくこのように考えられている方もいらっしゃると思います。

よく、「今、外注して作ってもらったエクセルのマクロなんか、10年以上使っているけど、全然保守なんか必要ないぞ! どうしてRPAはそんなによく止まるんだ?」といった内容の質問を頂くことがあります。

「よく止まる」かどうか分かりませんが、RPAに関しては誰が作っても、100%止まらないロボットを作ることはできないと言えます。

RPAの仕組みを簡単に説明しますと、人間に代わって「マウス」や「キーボード」の動きを模した信号をパソコンに送るようになっています。

その際に、画面上の情報を読み取り、ボタンだとか入力フォームの位置情報も認識しています。

それらを一連のソースコードにして、決められた順番通りにパソコンへ向けて送信していくのです。

RPAは、決められたことを正確かつ愚直に繰り返しますので、一見すると何の問題も無いように見えるかもしれません。

ただ、そこには条件が存在します。

毎回「環境」が同じであること。

この「環境」という単語ですが、RPAツールでは、
・Windowsの設定
・自動化対象のアプリケーションの仕様(ブラウザ含む)
・RPAツールのバージョン
・RPAツールが入っているパソコンの処理速度
等々が含まれてきます。

私もRPAエンジニアとして年数を重ねてきて、だいぶ安定したロボットが作れるようになったと自負しています。

しかしそれでも、自動化内容によりますが、ちょくちょくお客様から修正の依頼を受けることがあります。

多い原因としては、
・自動化対象のアプリケーションが自動アップデートして、微妙に環境が変わっていた
・(使っていくなかで)パソコンの挙動が重くなっており、時折処理が追い付かずにロボットが止まる箇所が出てきた
・何も変わっていないはずだが、RPA側で上手く「画像認識」しなくなっていた

といったものが目に付きます。

残念ながら、これらはテストの段階では事象として表れてこないことが多く、対応のしようがありません。

運用の中で、エラーが発生するその都度調整・修正していくしかないのです。

修正自体に時間のかかるものではありませんが、それでもそれなりのスキルが必要なのは確かです。

ロボットを運用していく中で、修正を繰り返すことで、安定度は次第に上がっていきますが、少なくとも作成から数か月は「保守あり」にしておいた方が良いでしょう。(と親友には答えます)