自己啓発系の本を読み始めると、「ポジティブ思考が大事」といった内容に洗脳されることがあります。

社会人になりたてで、意識高い系の人も良く「ポジティブ思考」という単語を口にしますよね。

そういう私も、平均的な人よりもそれ系のビジネス書は読んでいましたので、当時は鵜呑みにしていました(苦笑)

 

確かに「ネガティブ思考よりも、ポジティブ思考の方がいいんじゃないの!?」と感覚的に共感する人が多いと思います。

しかし、これも必ずしも良いこととは言えないのです。

エビデンスがあれば正しい!とは限らない

いつの間にか、世の中では「心理学」というものが、結構市民権を獲得するようになったと思います。

なので、「心理学の実験において、・・・」なんて紹介されるYoutubeやブログも結構多いです。

我々もそれを見て「そうなんだ!」と条件反射で納得することが多いのは否めません。

でも!

大事なのは、そのエビデンスの出所と「データを取った際の前提条件」です。

当たり前ですが、前提条件が違うのに同じ結果が出るとは限りません。

手相などの信ぴょう性を語る時に、「手相は過去〇〇〇年における統計データに基づいているので、確度が高いのです!」なんて説明を見たり聞いたりすることがありますが、それって本当でしょうか?

まず、その統計データって、誰がどこで、どんな形で取得してどのように集計しているのでしょうか?

これがハッキリしないにも関わらず、上記のような説明をされても納得できませんよね。

科学で大事なのは、「再現性」です。

世の中には多くの法則性があり、一定の条件の元であれば、同じ結果を導き出すことが出来るというのが科学であり、有用であるのです。

「吊り橋効果」とか「マシュマロテスト」などの有名な学説も、多くの人が再現実験を試みたところ、今ではその再現性に疑問符が付いている状態なのです。

ポジティブ思考の罠

話を「ポジティブ・ネガティブ」に戻します。

勘の良い人はなんとなくお分かり頂けたかもしれません。

一言で「ポジティブ思考が良い」と言っても、これもケースバイケースということです。

ポジティブ思考である=楽観主義である という受け取り方をすると、準備不足で大きな失敗をしやすい傾向があります。

もちろん、ネガティブ思考が強すぎると、怖くて何も挑戦できないということになりかねません。

ということは、「建設的なネガティブ思考」の持ち主であることが、より多くの人に勧められるものであるといえるかと思います。

総論として

シンプル思考の人は、何でも「白か黒か」でまとめようとしますが、現実的には上記の通り、それで全てを一括りにするのは難しいということです。

こういうことを言うと、感覚派の人からは「お前は理屈っぽい!」と言われますが、理屈派から言えば、「理屈が合わなければ、再現できないし、参考にならないでしょ!?」と感じる訳です。

 

例えば、「ミニマリストの方が人は幸せになれる!」と唱える人がいます。

これも本当か?というと、やはり「人による」という話になります。

好奇心と物欲が人並み以上あり、自分の好きなモノに囲まれて暮らすことに幸せを見出す人にとっては、ミニマリストの主張に100%の同意は出来ないでしょう。

 

「東大に受かる人のほとんどは、この英文法参考書の90%をマスターしているので、ぜひあなたもこれで勉強してください!」と言われて、すぐにこの参考書を買って勉強を始めるべきでしょうか?

これも違いますよね。

偏差値が60以上あるような人であれば良いかもしれませんが、中学校で習うの文法も怪しい偏差値40以下の人にとっては、素人登山家がいきなりエベレストを登ろうとするようなものです。

もっと難易度の低い参考書から始めた方が、結果として急がば回れです。

 

という訳で、一見すると正しいように感じることも、前提条件がかなり厳しいものであることが多いということです。

もし自分が何かに挑戦しようとするときは、参考にする成功事例に対して、「前提条件が合っているか?」ということも考慮すべきだと思います。