全国の主要都市で、RPAのハンズオンセミナーが人気のようですね。

対象のRPAソフトは、『WinActor』と『UiPath』がほとんどになりますが。

私も過去に参加してみたことがあり、その際に少し調べてみたました。

コースとしては、

●初級コース
30,000円 (7時間 × 1日)

●中級コース
50,000円 (7時間 × 2日)

●上級コース
50,000円 (7時間 × 2日)

というのが、一般的なようです。

具体的な内容としては、薄い資料を元に、1人1台ずつ机に置かれているパソコンを使って、決まったシナリオを作成していき、講師が説明をいれていくというものです。

このスタイルは、どこも同じでしょう。

 

さて、問題は、『どうしてハンズオンセミナーに参加しても、自分でシナリオを作れるようにならないのか?』ということです。

もちろん、その資料があれば、まったく同じものは作れるようになります。

でも、会社に帰ってから、独自のシナリオを作ろうとすると、チンプンカンプンになってしまうのは、なぜでしょうか?

 

■ハンズオンセミナーの問題点

突然ですが、独学でプログラミングの勉強を志した人の何割くらいが、無事にその言語をものにしていると思いますか?

 

あるアンケート結果では、2割ちょっとだったそうです。

つまり、8割近くの人が途中で挫折しているということになります。

なんだかんだいっても、プログラミングは敷居が高いことは否定できません。

 

そして「RPA」。

RPAソフトメーカーは、「ノンプログラマーにも使える、簡単なツールです」と謳っています。

ここに大きな問題があると思います。

「ノンプログラマーにも使える」&「簡単なツール」

 

こう謳ってしまっているので、セミナーや動画でも、そういった説明に終始せざるを得ない状況になっているのではないでしょうか。

講師もあくまでも簡単なツールであるかのように扱い、極力プログラム用語を使わずに説明することを要求されています。

お客様である参加者を飽きさせないようにするためにも、説明時間も極めて短く、「とりあえずやってみましょう!」と指定した通りにマウスとキーボードを操作させる。

参加者も不慣れな人がほとんどであり、言われるがままに動かして、気が付くと1つのシナリオがよく分からないうちに完成しているという状態。

帰宅しても、「なんでこうゆう風にシナリオを作成するのだろう?」といった基本的な部分が理解出来ていないので、全く応用が利かないのですね。

 

基本的に、セミナー1日で作るシナリオは2つ程度。

「初級コース」から「上級コース」まで、全て参加して5日。

全部作って、10程度。

シナリオ作成に使ったパーツの種類も、数十程度。

 

初級(3万円)+中級(5万円)+上級(5万円)の合計13万円となる訳ですが、参加終了後の人に

「13万円の価値がありました? 会社のお金ではなく、自腹だったとしても参加していますか?」

と聞いたら、恐らく「YES!」と答える人は、ほとんどいないでしょう。

 

■正しい教え方を考えてみる

一番大事なのは、「RPAはノンプログラマーにも使える」というのは、嘘です!と正直に話すことではないでしょうか。

100歩譲って、「プログラムの知識がある程度必要になります!」と最初にお話すべきだと思います。

なぜなら、RPAソフトって「コーディング」と呼ばれる作業を代行しているだけであり、裏ではVBAなどのプログラミングが動いている訳で、その部分を理解せずに使いこなせる訳ないのです。

ここを言わずにすぐデモンストレーションや講義に入るから、受講した人も「俺って、頭悪いのかな!?折角ハンズオンセミナーに参加したのに、会社のパソコンでシナリオを作ろうと思っても、何していいのかさっぱり分からないんだけど。。」となるのです。

なので、もし私が人に教える場合には、RPAソフトに触らせる前に、プログラミングについての座学時間を小一時間は取るでしょう。

そこで必ず出てくる単語はもちろん、基本的なアルゴリズムの説明などをした上で、簡単なシナリオを作ってみましょう!とします。

これを抜きでいきなりRPAを触らせるので、参加者は全く応用の利かない知識しか身につかずに帰ることになるのです。

 

もちろん、小一時間とってプログラミングの概要を説明しても、腹に落ちるor頭に残るのは、普通の人で話した内容の3割程度でしょう。

それでもいいのです。

RPAソフトを使っていく中で、プログラミングの基礎と行ったり来たりを繰り返し、自然と理解できるようになってきます。

全体像が分かってくると、「ここでは繰り返しを入れて、行数を1つずつ増やしていけばいいんだな」といったことが自分で思いつくようになってきます。

でも、プログラミングの基礎が分かっていないと、その全体像が頭に描けません。

ですから、「急がば回れ!」で、最初の最初は最低限のプログラミングの基礎を学ぶべきなのです。

 

もちろん、その後には車の運転と同じで、「習うより慣れよ」という話になってきます。

車の運転であれば、どの程度アクセルを踏むとどの程度スピードが出るとか、どの程度ハンドルを回すとどの程度曲がるのかといったことは、口で教えて貰っても身につきません。

これは実際に何十キロ、何百キロも乗って、様々なシチュエーションを体験しながら学習していくしかないでしょう。

RPAツールもしかり。

どのRPAツールも、それぞれのクセと呼べるものがあり、正常に設定してある(と思う)のに、こちらが考えるように動作しないということがあります。

その差を埋めていく為には、沢山の実践が必要となってくるのは仕方がないので、RPAの学習は中長期的に考えていきましょう。