色々と期待されることが多いRPAですが、凄く需要があるのに、これは苦手!というものがあります。

それは、

OCR

です。

OCRとは、Optical Character Recognition/Readerの略で、「光学的文字認識」のことです。

つまり、手書きや印刷された文字を、イメージスキャナやデジタルカメラによって読みとり、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術です。

 

「OCR」の現状

残念ながら請求書や内訳書などの紙媒体は、今のOCRでは上手く読み取れないのです。

「えっ、それってRPAではなく、OCRの話でしょ!?」という声が聞こえてきそうですが、一般のRPAソフトには基本、なんらかのOCR機能が備わっています。

しかし、2019年1月の時点において、どれもビジネスで使うには、あまりにも役不足としか言えない状態です。

私もいくつか実際に試してみましたが、日本で最も売れているといわれるようなOCRソフトですら、画像データが少し荒れているだけで、誤認識・文字化け連発の状態です。

よく「98%の識字率!」といったような売り込みの表記がされていますが、実際利用してみると、「これって100文字のうち98文字認識したってこと!? 100枚の申し込み用紙のうち、98枚問題なく読み取ったってことじゃないよね!?」というレベルです。

 

エクセルをPDFに変換して、それを添付ファイルで送ってくれたものであれば、だいぶマシになるのですが、一旦、プリントアウトしてそれをスキャンしたようなものはダメですね。

もちろん、解像度が高く鮮明であれば、大半は大丈夫ですが、それでも必ずと言えない状態なので、ビジネスとして利用するには、心もとない感じです。

 

原因の1つとして、「漢字」を読み取るのが難しいのだと思います。

アルファベットで出来上がっている文章なら、ずっと簡単でしょうが、漢字となると大変なのは想像に難くないでしょう。

更に手書きとなると、それはもう難易度のケタが違いますよね。

 

「OCR」の新しいカタチ

では、RPAでOCRというのは、到底無理なのでしょうか?

実は、「AI-OCR」という分野が急激に伸びています。

仕組みとしては、膨大な数の画像(手書き文字)をAIに読み込ませ、そこから人のクセを理解させ、最終的に文字として読み取るというものです。

こう言うと簡単そうですが、膨大な量のデータを処理する必要がありますから、市販ソフトのようにPCにインストールして・・・という訳にはいきません。

 

 

このAI-OCRは既に製品化されており、実際に使われている業界はあります。

ニュースになっていたのは、保険業界と金融業界です。

お客様の手書きの申込書などをAI-OCRで読み込み、それを顧客データベースなどに入力するといった作業をRPAにさせているのですね。

気になるのは、そのAI-OCRに掛かる費用です。

基本的には開発内容に応じた個別見積もりになるので、少なくとも数百万円~が初期費用として掛かり、年間のランニングコストも数百万円~でしょう。

となると、少なくとも数千万円クラスの費用が発生しているものと推測します。

それでも、精度は100%とはいかず、読み取れない場合にはエラーを発生させ、人が代行して入力するような仕組みにしているそうです。

 

このような高精度なAI-OCRが、中小企業の手の届くところまで価格がこなれてくるのは、いつごろになるのでしょうか。

99.9%を超える精度で、いくら使っても1か月の利用料金が10万円以下。

そんなAI-OCRの登場を待ち望んでいます!

 

ちなみに、そこまでの精度は無理ですが、月額10万円ちょっとの「お手軽AI-OCR」は登場しています。

ただ、どうしても読み込んだ後に、人間の「目視チェック」を入れる必要が出てくるのです。

目視チェックで間違っているところだけを打ち直せば良いので、人が全部手打ちで入力するよりは高速になりますが、「自動化」という意味では、がっかりされるでしょう。

また、課金形式は様々ですが、1枚単価数十円掛かることが多いので、これだったらバイトを雇っても変わらないかも!?と導入のネックになっていると言えます。